本研究では,アメリカ合衆国において近年急速に拡大している公立大学の授業料無償化政策の理念、財源、受給要件、給付方法等を調査し,特徴的な州のケーススタディを実施した。アメリカにおける大学無償化は連邦レベルではなく州・地方レベルで進行しており,その目的は人口減少・貧困問題といった地方が抱える問題への対処や州の経済発展に資する人材養成という面が強い。また,無償化の対象は公立大学進学者が中心であり,私立大学まで含める事例は多くない。現在32州で無償化政策が実施されており,各州では財源を確保しつつ,受給要件をどう設定するか模索が続いている。
|