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本研究では、従来専門的知識が重視されてきた職業専門高校や大学の学部等においても汎用的能力が重視されるようになってきた現状をふまえ、それとは逆に汎用的能力を構成する各要素に通じる教養教育の長い伝統を有しつつ、19世紀後半以降に職業世界との関係形成を企図して工学等の優等学位コースを創設したケンブリッジ大学の経験から、職業世界と関係の深い教育機関における汎用的能力の教育の効用や課題について考察することを目的として研究を行った。最終年度の本年は、英国土木技術者協会やケンブリッジ大学文書館等で調査を行うと共に、同大学工学教授ユーイングとイングリスの教育思想を整理し論文を公表した。 本研究は研究期間当初より世界的コロナ禍の影響を受けてきた。そのためその影響を受けにくい研究から着手していった。まずはケンブリッジ大学工学優等学位コース創設初期の同学位取得者の進路の分析から始め、数学や自然科学等の専攻者との比較において、工学コースにおける実業界に進んだ学生の割合の顕著な高さを確認した。続いて『英国人名辞典』を用い、同大学工学コース出身者のうち「技術者」として掲載された者の割合および「技術者」として掲載された20世紀生まれの者における同大学出身者の割合が共に半数を超えることを確認した。ついで同大学工学コースの二人の教授ユーイング(在1892-1903年)とイングリス(在1919-40年)の言説を考察し、両者共に同大学工学コースが技術者の養成を目指すものであることを明言しつつも、技術者の養成は大学における数学や基礎科学に重きを置いた学修と現場での徒弟修業との組み合わせによってはじめて完成されると考えていたことを確認した。最終年度においては、汎用的能力や教育と職業の関連性(レリバンス)に関する議論等をふまえつつ、本研究で明らかにしてきたことの位置づけや意義を考察し、結果を報告書にまとめた。
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