研究課題/領域番号 |
19K02894
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
山邉 昭則 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70533933)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リベラルアーツ / 教養 / 総合性 / 創造性 / 社会性 / メディア / SDGs / アフターコロナ |
研究実績の概要 |
初年度の研究として、主に以下の3点を実施した。(1)北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、アジアの主要大学におけるリベラルアーツ教育の歴史・現状調査、(2)我が国の総合大学(以下、医学部以外を指す)ならびに医学部におけるリベラルアーツ教育のカリキュラム・内容調査、(3)新しい時代状況に呼応したリベラルアーツ教育の探索的考察。(1)については、文献・インターネット・現地訪問等により調査を進めた。2019年7月には、オーストラリア・メルボルンにおける高等教育関連の、2020年2月には、アメリカ・シアトルにおけるイノベーション関連の国際会議において発表を行うとともに、海外の研究者らと各国のコンテクストを踏まえた活発な議論を行った。(2)については、国公私立大学の公開情報を中心に調査を進めた。また、学習者の自由意思の下で、リベラルアーツ教育の修学前・修学後の学習効果の定着と発展を把握する半構造化面接を複数行い、質的考察を行った。(3)については、領域横断的な総合性を育む学び、社会性を育む学び、創造性を育む学び、の3つに分けて研究をデザインした。大学教育の場で実践を行い、その3つの学習効果の検証を行った。題材としたテーマは、研究代表者が2014年から考案・実施している、研究倫理意識の向上を目指した、学習者による「研究倫理小説」の創作(不正に至る伏線を盛り込み、人間社会の機微を描き、不正防止意識を喚起させるもの)、研究代表者が2017年から放送局の番組制作統括と共同でフォーマット化して実施している「番組企画書」の創作(2019年は持続可能な地域社会の発展、2020年はアフターコロナの世界に寄与する番組がテーマ)を採用した。後者でば、多様な背景を持つ情報の受け手の視点に立ち、社会の潜在的ニーズを洞察し、制作するプロセスを通じて、総合性、社会性、創造性のすべてにおいて高い学習効果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内と海外の大学のリベラルアーツ教育の調査・考察は、計画に沿ったペースで遂行することができている。また、総合性・社会性・創造性を育む教育の実践と効果検証が順調に行われ、計画よりも早く教育のフォーマット化が実現できたことから、本達成度とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度で収集した調査結果に基づき、分析を進め、知見の創出と体系化を図っていく。論文と書籍の作成ならびに国際会議における研究発表をさらに推進していく。当初の計画に加えて、アフターコロナ/ポストコロナ時代におけるニューノーマルへの社会変容も考察の対象とする。分野を超えた様々な専門・職能との協働の意義を一層高めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際・国内学会参加の旅費、書籍購入等において、当初の計画よりも廉価に済ませることができたものが存在したため。残金は、本年度配当額と併せて、初年度で開拓された発展的テーマの研究書の購入等に充当する。
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