研究課題/領域番号 |
19K02897
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
若槻 健 関西大学, 文学部, 教授 (40421276)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人権教育 / 大学教育 / 教職課程 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学における人権教育の全国的な実施状況を、その実施「体制」と実施「内容・手法」の観点から調査し、人権教育を推進させる要因を明らかにするものである。全国の大学への「質問紙調査」と先進的な取り組みを行っている大学への「インタビュー調査」等を行い、①大学の人権教育は、どの程度、どのような内容のものが推進されているのか、②先進的な事例にはどのようなものがあるか、③大学の人権教育を促進させるための要因は何かを明らかにする。 2019年度は、「予備調査」として、関西地区で人権教育が「進んでいる」大学と「進んでいない」大学を選び、全学的な実施「体制」及び実施「内容」について担当者への聞き取りをおこなうとともに、授業シラバスの分析を行った。その中で、人権教育の授業の充実度は、大学の規模に影響を受けるとともに、ある大学が人権教育を充実させるのには、歴史的な経緯があることがうかがわれた。人権教育の内容については、学部専門に関連するものが目立つ一方で、教養科目においては、担当教員にゆだねられている傾向がうかがわれた。学内体制については、規模の大きな大学ほど充実していることがうかがわれたが、その実際の運用状況については今後確認する必要がある。 また、西日本の高等学校への聞き取り調査を行い、高校までの人権教育で学習する内容・方法についての知見を深めた。この作業を通じて、2020年度に行う予定の全国質問紙調査の質問項目を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の点について、関西の人権教育が進んでいる大学と進んでいない大学への聞き取り調査を行った。 ・大学における人権教育の全学的実施「体制」はどの程度整備されているのか、整備状況は大学の規模や設置学部、所在地域等により差異がみられるか。 ・人権教育に関する「授業」はどの程度開講されており、どのような「内容」が、どのような「教育方法」により行われているのか。「内容」は、「人権教育・啓発に関する基本計画」で重点課題として挙げられている13の課題(女性・子ども・高齢者・障害者・同和問題等)がどの程度行われているかを、「教育方法」は講義、体験、グループワーク等どのような手法が用いられている。 同時に高等学校への聞き取り調査を行い、高校段階までの人権教育の内容と手法、実施体制、頻度等について知見を得、大学における人権教育の特徴を浮かび上がらせた。 以上の知見をもとに、2020年度に行う全国調査の調査設計を行った。
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今後の研究の推進方策 |
全国の四年制大学、短期大学に対し質問紙調査を行う。そのために2019年度に検討した質問項目をもとに予備調査を行い、質問紙調査を精緻化する。質問紙調査では、人権教育推進のための全学的な体制の有無と具体的な形態(「学内体制」)、人権教育に関する授業科目の設置状況及び啓発行事の有無とその内容(「実施内容・手法」)について全国 の状況を把握する。 年度の後半には、質問紙調査の回答より、人権教育の進んでいる大学を5校選定し、聞き取り調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月、3月に予定していた情報収集のための出張、質問紙調査を精緻化させるために予定していた大学における人権教育実践者との意見交流を行うことができなかったため、予定よりも使用金額が少なくなった。2020年度に入り、前述の調査等を行い、全国の大学対象の質問紙調査を実施する予定である。
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