研究課題/領域番号 |
19K02899
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
須長 一幸 福岡大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10419955)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アクティブ・ラーニング / スタディ・スキル / 否定的能力 / 発問能力 / 目標構想能力 / オルタナティブ |
研究実績の概要 |
今年度は、主に「発問能力の段階的育成に向けた教育法の開発研究」に関して進捗があった。前年度の研究では、発問能力の中核に「目標構想能力」を位置付けたが、この能力には、第1段階となる「そこにない何か(=オルタナティブ)をイメージする」という要素(なんらかの問いを生み出す契機となる部分)、第2段階となる「何をイメージすればよい問いが生み出されるのか」を吟味する要素(さまざまな潜在的問いを「よい問い」へと質向上する部分)があることが明らかにされている。今年度は、まずこの第1段階の契機的部分の育成に向けた教育法の開発を行った。 開発された具体的な教育法とは、比較的説得力があるように見える単文ないし短い文集合(格言など)に対して反例を考える、というものである。これらは、所与の情報を受容する際、単にその文章の論理的構造への視座を養うだけではなく、学習者に対してオルタナティブとしてその文の「意図されていないモデル」を考察することを作業として求めることになる。オルタナティブを構想しつつ情報を受け取っていくことは、所与の情報を他と比較吟味しながら慎重に受け入れていることを可能にするような、一種の緩衝剤として機能し、これは学習者の批判的思考力の底上げにもつながることが期待される。以上が主な今年度の研究の成果である。 以上の成果は、第44回大学教育学会大会において「「問い」を立てる能力をいかにして開発するか」として報告されている。第2段階に関する能力開発に関する研究が、本研究の続いての課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度の進捗にはおよばないものの、令和4年度も予定していた内容に関する研究は遂行できたが、これを論文としてまとめる作業がまだ残っていることと、本研究課題に対するエフォートが十分に確保できなかったから、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、昨年度までに実施してきた本研究の柱である「発問能力に関する哲学的研究」と、「発問能力の育成のための初年次教育の教育コンテンツの開発」を継続して実施する。 哲学的研究については、令和3年度に構築され、階層化した「目標構想能力」のうち、第2段階にあたる能力の明確化や概念化を行いつつ、学士課程の初年次教育において広く普及可能な方向を目指しての深化を引き続き行う。 コンテンツ開発については、主に学内の正課プログラムのなかで初年次学生向けのワークを開発、実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度のコロナウィルス感染症の拡大に伴う各種の緊急事態的状況によって研究計画の遅れが生じ、これに伴って研究費の仕様の繰り越しが発生した結果、すでに研究計画、研究費の使用計画のいずれについても、2年延期する形で変更を行うこととなった。ただし、変更後の研究の進捗は比較的安定している。 なお、令和3年度に予定していた海外出張はコロナウィルスの感染拡大防止の観点からこれを中止し、国内の諸大学への視察出張も実施せず、令和4年度においても、コロナウィルスの感染状況を踏まえて視察出張は行わなかった。令和5年度も、研究の最終年度であることから、成果報告以外の出張は原則行わない。研究は、研究代表者が所属する大学での開発研究に注力する形で行い、予算は教材開発に関わる書籍・物品の購入、およびコンテンツの開発費、作成費にあてる予定である。
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