高等専門学校専攻科を主対象にしたエンジニアリングデザイン(ED)教育プログラムを開発した.高齢者の割合が高く且つ自然環境の厳しい「離島・飛島(山形県酒田市)」での活動という特殊な状況下で「ものづくり」で解決を試みるユニークな教育プログラムである.プログラムの特色として,地域貢献を念頭に置いたモチベーションの高い活動,学科混成型のチームによる複合融合型の課題解決,合宿を通じたチームワークの涵養が基軸である.専攻科1年次前期90時間(2単位)で実施できる実習科目を設計し,エンジニアリングデザイン(ED)教育プログラムの開発と実践,検証を行った. 具体的な取り組み課題として,海岸漂着マイクロプラスチック等の破片ごみ回収技術の開発,流木や間伐材の再資源化に向けた炭化物の製造と活用,高齢化・労働者不足に対応した自動運搬車の開発,観光を活性化するための情報技術,バイオマス資源の活用のための海産物の食品および化粧品としての応用,などであった. プログラム全体の段取りとして以下①~④のようになる.①合宿に備えた事前準備:出身分野(機械,電気・電子,情報,化学・生物)を混成した4~5名のグループを約5班編成,テーマ選定は島の課題共有を踏まえて,グループ討議を経て決定.製作デザイン案の確定,設計,費用算出,活動計画の策定についてグループ単位で確認,必要物品の確認,スケジュール確認,製作目標の明確化.②離島での合宿活動:協力教員3名とともに実施した.現地視察(1泊2日),製作活動(3泊4日)の2回実施.技術士等を招き講演会の実施.③校内での製作活動(継続),中間報告,④市内での環境イベント(環境フェアつるおか等)を利用して成果物を市民関係者に報告,学生自身の意識調査の実施により教育効果を検証した.
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