本研究の成果は,次の4点において学術的・社会的な意義を有している。第1に,学校教育の中心的活動である教科指導は,健康障害児の自尊感情の育成に寄与し得ることを示した。第2に,健康障害児に対する教科指導上の配慮点として,教育機会の保障にとどまらず,認知機能の評価とその状態に応じた学習支援の必要性を示した。第3に,健康障害児の事例的な分析に基づいて,自尊感情の変動要因には個人差があることを示した。第4に,定型発達児や他の障害児を通じて得られた知見は,健康障害児の教科指導や学習支援に役立つ可能性を示した。
|