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2020 年度 実施状況報告書

読み指導MIMの10分指導パッケージ化による通常学級での導入促進に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K02915
研究機関高知大学

研究代表者

松本 秀彦  高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (70348093)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード読み書き障害 / MIM / 小学校低学年通常の学級 / 国語学力
研究実績の概要

①10ミニッツ指導パッケージの活用効果の検証:当初目標は協力校10校で児童の学習効果をアセスメントテストで検討することであったがコロナ感染拡大によって実施できなかった。一方、15校の小学校においてMIM指導およびMIM-PM(読み流暢性アセスメントテスト)が実施できるように取組み、小学校2校、医療機関1ヶ所にデジタルMIM教材を提供した。
②「教員の業務負担感」、「児童の学習つまずきの気づき」アンケート:教員の負担感は月に4回10分間程度の指導実施は低かった。MIM-PMアセスメントテスト実施の負担感はほとんどないが、データ入力が高かったことから、データ入力支援があればMIM指導を実装できる(松本,2020)。
③学力とMIM-PMアセスメントテストとの関連性:MIMの継続的指導が行われなかった5年生群(N=52)においては、CRTテスト国語(観点5言語知識理解技能)と2年生12月時点でのMIM-PMアセスメント得点との間に有意な正の相関(r=.667)が認められるなど、読み流暢性能力は国語の学力を支える重要な要素になる可能性が示された(松本,2020)。
④個別指導ニーズ児童への指導体制:子どもたちの読みの流暢性の向上と学習困難予防をめざすための指導に必要なことは、全体的な実施の舵取りをMIMコーディネーターが、子ども一人一人の指導ニーズの判断を学級担任が行うように教職員のチームを作ることであると結論づけた(名倉・松本,2020a,b)。デジタルMIM教材などのICT活用による個別指導の有効性はコロナ感染拡大により年度終盤から個別指導が可能となったため検討できなかった。
⑤教育委員会との連携:高知市教育委員会の学校支援事業によって2校にMIM指導を導入できた。
⑥啓発活動:高知大学教職大学院附属学校教育研究センター主催オープン講座を開催した(参加者学校関係者約30名)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

協力学校に保管されたデータを用いて読み流暢性と学力の関係性のデータ分析を行い学力と読み流暢性の関連性を明らかにした点と、教育委員会との協力体制のもとMIM指導を広げる活動について着実に成果をあげた。また、新たに医療機関と連携してデジタルMIMを用いた指導実践ができるようになり、医学的アセスメント情報を加味した読み流暢性指導効果の検証が行える体制づくりも進めることができた。
以上のように研究を進めた一方で、2年次の計画の主要な事項である小学校現場における10ミニッツ指導パッケージ教材を用いた指導実施と、MIM-PMによる読み困難の早期発見およびデジタルMIM教材を用いた個別指導の実施が、コロナウィルス感染拡大による休校措置のため実施することができなかった。この点より進捗状況は当初予定よりもやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

2年次の研究計画未実施分を補い成果を得るために次のような方策を立てた。(1)2020年度にMIM指導を導入した15校に研究協力依頼し、10ミニッツ指導パッケージを提供し読み流暢性能力への効果を検証する。(2)MIM指導導入に関する「教員業務負担感」と「児童の学習つまずきの気づき」アンケートの分析結果を2021年度に高知大学紀要論文に投稿する。(3)読み流暢性能力と学力との相関関係に関する分析結果は2021年度中にLD研究に投稿する。(4)個別指導体制整備とデジタルMIM等のICTを活用した指導については、協力校に支援体制の提案を行うとともに、個別指導においてデジタルMIMを活用できるよう教材を提供しその効果を検証することとする。デジタルMIM指導は小学校5校と医療機関1ヶ所で実施しデータ集積する。(5)教育委員会との連携については、読み流暢性と学力との関係、及び短時間MIM指導の有効性について説明し、より多くの協力校を得られるよう目指す。協力校には短時間MIM指導とデジタルMIM指導が実施できるように10ミニッツ指導教材とデジタルMIM教材を提供し、また個別指導については指導補助の人的資源のバックアップを行えるようにする。そのために1名の研究分担者を追加する。(6)得られた知見について研究発表する。学力と読み流暢性との関連についてはLD研究に、教師への業務負担感アンケート結果については高知大学紀要に投稿する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度に計画していたが行うことができなかった15校におけるMIM-PMアセスメントに関する集計のための人件費15万円、小学生に対する個別指導のための人件費4万円、出張15万円が執行できなかった主な予算であった。2021年度は2020年度に実施できなった上記について予算を計上することとした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 小学校低学年の通常の学級におけるMIM-PMによる継続的指導が読み流暢性に及ぼす効果(第2報)2020

    • 著者名/発表者名
      名倉忍・松本秀彦
    • 雑誌名

      高知大学学校教育研究

      巻: 2 ページ: 279-287

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 小学校低学年の通常の学級におけるMIM-PMを活用した校内指導体制の実践と効果2020

    • 著者名/発表者名
      名倉忍・松本秀彦
    • 学会等名
      日本LD学会第29回大会
  • [学会発表] MIM-PMアセスメントテストは国語の読みの力と関連するか?小学校における学力標準調査・CRTを用いた検討2020

    • 著者名/発表者名
      松本秀彦・名倉忍
    • 学会等名
      日本LD学会第29回大会
  • [学会発表] 多層指導モデルMIMのアセスメントテストと学力との相関関係(話題提供)大会企画シンポジウム「通常の学級における多層指導モデル」2020

    • 著者名/発表者名
      松本秀彦
    • 学会等名
      日本LD学会第29回大会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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