研究課題/領域番号 |
19K02921
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研究機関 | 白梅学園大学 |
研究代表者 |
堀江 まゆみ 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (50259058)
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研究分担者 |
内山 登紀夫 大正大学, 心理社会学部, 教授 (00316910)
小保方 晶子 大正大学, カウンセリング研究所, 研究員 (00442088)
桝屋 二郎 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70349504)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 性問題行動 / 発達障害女子 / KeepSafe / GoodWay model / 認知行動療法 / 危機介入 |
研究実績の概要 |
性問題行動を抱えた思春期の知的障害・発達障害のある青年に対して、「KeepSafe(ySOTSEC-ID)」(性的問題行動(HSB)を示す知的障害・発達障害のある青少年と保護者向けのグループ治療プログラム)を実施してきたが、現場のニーズとしては発達障害等のある女子の性問題行動へのアプローチ方法がないことが指摘されてきた。 本研究では、発達障害等のある女子青少年の性トラブルや性的問題行動に関する聞き取り調査を行い、性被害や性加害、性的トラブルの支援の課題を明らかにするとともに、Good Way モデルをコアとしたアプローチ方法を開発することを目的にした「gSOTSEC-ID(知的障害や発達障害のある女子青少年の性的問題行動に対するグッドウィル・グッドライブズアプローチ)」(gは女子girl)。 本年は、発達障害等のある女子の性的問題行動の実態と支援課題に関して事例と生活課題との関連を分析し、プログラムを作成して実施した。対象は性的問題行動を示す知的障害・発達障害のある女子青少年、A高等特別支援学校の高等部2年3年の合計6人であった。 プログラム内容は、基本的にKeepSafeの内容を10回(1回50分)に短縮して構成した。ナラティブ、同意の理解、性の基礎知識、共感、Goodwayを選択する、これからのGoodLife 計画である。特に発達障害のある女子の性問題行動の特徴である「異性との性急なコミュニケーションの取り方」や「一般的な段階を踏んだ距離感の取り方」「避妊をしないセックスがなぜ課題であるか」などを理解しやすいように構成したが、対象女子の理解には効果的であったことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の今年度の研究課題としては、特別支援学校でのKeepSafe実践を目標としてきた。研究協力者である学校長やKeepSafe実践の教員等が順調に実践協力をしており、発達障害の女子の対象者へプログラム実施が順調に進められた。特に、前期で1クール(10回)、後期でも1クール(10回)を実施することができたので、前期での実施課題を踏まえて、後期を効果的に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の点を推進していく計画である。 ① 女子版KeepSafe(gSOTSEC-ID)プログラム内容の検討と教材等マニュアルの開発を進める。聞き取り調査および質問紙調査の結果をもとに、発達障害等の女子の障害特性および性的問題行動の発生や問題解決方法に合わせた内容をプログラム化していく。その際、視覚的な教材の作成を検討する。プログラム構造は 6 領域から検討する。リスクアセスメント等のテストバッテリーの検討も実施マニュアル構造と合わせて進めていく。 ②イギリスのKent大学の共同研究者らと意見交換をしながら、Kent大学研究者らが進めている予防的プログラムである「KeepSafe for all」との比較をしながら、日本版の女子KeepSafeの妥当性を検討していく。 ③最終年度には「女子版KeepSafeプログラムの効果検証を行う。発達障害等の性的問題行動を示す女子 20 名に対し プログラムを行い、 プログラムの有効性に関し効果測定する。実施は後述する地域包括的トラブルシューターネットと連携することが重要であり、人材養成と危機介入支援を構築しながら進める。エビデンスのある予防的・発達支援の取り組みとし、女子青少年の家族、および支援者に対して定期的な事例検討の機会を提供しアセスメントと支援の課題、リソース、困難について話し合うシステム作りを構築することを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、聞き取り調査の対象について50対象を予定して旅費および謝金を予定していたが、実施が制限された。発達障害のある女性の性問題行動に関して調査に協力できる対象が予定よりも確保が難しく、この分を使用しなかった。 また、特別支援学校での実践が予定よりも回数を確保できなかったために、交通費、謝金、物品費が使用できなかった。これらは次年度の研究計画として行うため、予算も次年度に使用することとした。
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