研究課題/領域番号 |
19K02923
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
黒田 学 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (10293581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 障害者 / インクルーシブ社会 / インクルーシブ教育 / 障害者雇用 / 障害者福祉 / ASEAN / ベトナム / カンボジア |
研究実績の概要 |
研究課題「ASEANにおけるインクルーシブ教育と社会構築の課題―ベトナムを軸とした比較研究」に関わる文献、資料の収集と整理、調査を実施してきた。これまでの経過を振り返れば、まず、2020年当初からの新型コロナウイルス感染症の拡大状況に対応するため、2020年度および2021年度は当初予定の現地調査を断念した。2022年度になって、入国制限、出国の見合わせが緩和されたことで、2022年9月にコロナ禍以後の初の調査として、ベトナムの首都ハノイ及びホーチミン市を訪問し、研究協力者の協力を得て調査を実施した(黒田学ほか「ベトナムにおける障害児教育・福祉の動向と課題 ─ハノイとホーチミン市の事例調査を通じて─」立命館産業社会論集、59-1、2023年)。その他、ハノイ師範大学特別教育学部専任講師ディン・グエン・チャン・トゥ氏による講演等の企画を実施した。 2023年度には、カンボジアの首都プノンペンで研究協力者の協力を得て調査を実施し、NISE(国立特別教育研究所)、JICAカンボジア事務所、NPIC(国立カンボジア高等工科職業訓練校)、RUPP(王立プノンペン大学)等を訪問した。2016年よりカンボジアの障害児教育等の実情について継続的に研究を進めてきたことから比較すれば、2023年の状況は、①プノンペンを中心に障害児教育が制度的にも実践的にも進展していること、②他方でコロナ禍による教育活動が停滞してきたことが明らかになった。その他、インターネットを通じて、現地の研究者とのメールやZOOMを利用して、研究情報の交換を適宜行い、最新の状況を間接的に把握した。 したがって、ベトナム、カンボジアをはじめとするASEAN諸国におけるインクルーシブ教育と社会構築について、障害と貧困・格差問題との関連に注視しつつ、引き続きASEAN諸国への現地調査を実施することを計画し、研究成果を得たい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」要因は、当初予定の現地調査が、新型コロナウイルス感染拡大への対応のため遅延してきたためである。先述のように2022年度になって、入国制限、出国の見合わせが緩和されたことで、①来日されていたベトナム人研究者との研究交流、②ベトナムへの現地調査、③カンボジア現地の研究者とのインターネットによる情報交換を実施した。引き続く2023年度には、カンボジア・プノンペンでの現地調査を実施することができた。しかしながら、他のASEAN加盟国に対象を広げて訪問調査を実施するには至らなかった。また、研究代表者が、期せずして2023年度より所属大学の学部長職に就いたことで海外調査日程を組むことが極めて困難となっていることも大きな要因である。2024年度まで、研究期間を延長することで、所期の研究目的が達成できるように研究計画を吟味しながら展開させたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題に関わる資料および文献収集、先行研究の整理、サーベイについては引き続き取り組みつつ、現地調査の可能性を追求する。研究期間を延長したことで、ベトナム、カンボジア以外のASEAN加盟国での訪問調査を企図したい。現地の研究協力者と連絡を取りながら(メール、ZOOMでのやりとり等)、遅延してきた研究計画を見直し、立て直しを図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、研究初年度より新型コロナウイルス感染症拡大のため、当初予定していたASEANへの訪問調査に遅延が生じてきたためである。2022年度にはコロナ禍で初の調査をこれまでに研究協力関係のあるベトナム(首都ハノイ及びホーチミン市)で実施し、2023年度にはカンボジアの首都プノンペンでの調査を実施した。しかしながら、その他の国への調査の目途がつかなかったためである。2024年度は、研究年限を延長したことで、ASEANへの訪問調査を計画し、実施できるように努め、当初の研究目的を達成させたい。
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