集団指導の授業づくりにおいて、チームティーチングを効果的に機能させるためには、補助指導者の役割と支援が重要となる。補助指導者の役割や支援行動と参加児の課題遂行との関連を明らかにする実践研究が有効と考えられる。2021年度では、前年度に続き、大学附属研究センターで、特別支援学校の授業場面をシミュレートした小集団指導を実施した。参加児は重度知的障害児、ダウン症児、重度知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害児の計6名であった。保護者に研究目的や方法、個人情報の守秘義務の遵守等を書面により協力を依頼し同意を得た。期間は2021年5月~2022年1月で、週1回のペースで、約1時間半、計21セッションを実施した。指導内容は始めの会やサーキット運動であった。補助指導者の役割と支援にを、特定の参加児への個別支援から、グループや集団支援、役割分担による支援に変更した。ビデオ録画より、補助指導者のプロンプト(誰に、何の目的で、どのような手段で)を時系列に抽出し、参加児の課題遂行レベルとの関連を分析した。その結果、補助指導者が個別支援を行うことで参加児の自発的な課題遂行レベルが妨げられる実態が認められた。具体的には、参加児が自発的に課題遂行できるかどうかを確認しないまま、手をつないだり身体を持って誘導したりする等の身体ガイド、指さし、動作モデル等を行う過剰支援が生じやすくなり、離席や姿勢の崩れを修正する等の逸脱行動への対応が過剰に行われる傾向が認められた。グループや集団支援、役割分担による支援に変更することで、参加児の自発的な課題遂行が促され、そのことで補助指導者のプロンプトが自然に遅延したり低減したりすること、参加児から離れて観察して働きかけるといった望ましい支援が促されることが明らかになった。このようなサブ指導者の適切な支援は、教職経験の豊かな指導者ほど早期に形成されやすい傾向も認められた。
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