研究課題/領域番号 |
19K02930
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
平澤 紀子 岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (20320393)
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研究分担者 |
坂本 裕 岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (20310039)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発達障害 / 行動問題 / 行動支援計画 / リーダー研修 / 特別支援教育コーディネーター |
研究実績の概要 |
研究の目的は、行動問題を示す発達障害児に対して、就学前から継続した小学校初年次における支援を特別支援教育担当者が推進するためのプログラムを開発することである。そのために、(1)小学校の特別支援教育担当者が有効な支援計画の作成・活用を推進するためのリーダー研修、(2)管理職のマネジメント、(3)教育委員会のサポート体制を検討する。 2年目は、昨年度の研究結果を踏まえて、16の小学校の特別支援教育コーディネーター(研修者)が研修を受けていない担任と発達障害児の行動支援計画を作成するためのリーダー研修を検証した。研修では、筆者が機能的アセスメントの理論と方法、担任との検討方法を講義し、研修者が担任とペアで行動支援計画を作成した。研修後に、研修者は研修を受けていない担任と行動支援計画を作成した。2グループ(各8ペア)に、時期をずらして研修を導入し、研修効果を反復的に分析した。その結果、本リーダー研修の有効性が検証された。ただし、研修者や非研修担任の経験等による違いもみられたことから、研修者に依存しない機能的アセスメントのガイド教材が必要であると考えられる。 管理職のマネジメントについては、特別支援教育に関するマネジメント29項目と行動支援計画に関するマネジメント15項目を作成し、行動支援計画を実施した小学校の校長16名に、重要度と実行度の評価を得た。その分析から、学校で行動支援計画の作成や活用を推進するためには、特別支援教育体制整備と重なるチーム運営や資源が重要であること、アセスメントに基づく支援計画やデータ活用に関しては情報提供が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究課題であるリーダー研修について、計画に従い、特別支援教育コーディネーターを対象として研修を受けていない担任と行動支援計画を作成するためのリーダー研修を検証し、有効性と課題を明らかにするこができた。また、管理職に必要なマネジメントについて、特別支援教育の体制整備状況を踏まえ、行動支援計画の作成と実行を支えるための内容を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究課題は、これまでに開発したリーダー研修の改善と参加校の管理職・教育委員会への調査から、有効な支援計画を推進するためのサポートを明らかにすることである。 (1)リーダー研修:研修者に依存しない行動支援計画を作成するために、対象児の行動状況を入力すると有効な支援が提案されるアセスメント教材を作成する。それを用いたリーダー研修で実施評価検証する。対象者は2地域の小学校の特別支援教育コーディネーター20名程である。夏休みのワークショップで、担任とのペア研修により、行動支援計画の作成方法を学習し、その後に非研修担任と行動支援計画を作成し、実行評価する。 (2)管理職と教育委員会のサポート:対象者は、リーダー研修参加校の管理職20名程である。昨年度明らかにした有効な支援計画を推進するために必要なマネジメント内容を事前にガイダンスする。リーダー研修の事後評価12月に、管理職に上記項目の「実行度」と「重要度」の評価を得て、有効なマネジメントを明らかにする。また、研修を管轄する教育委員会担当者へのインタビューを基に、必要なサポートを明らかにする。 以上を基に、就学前から継続した小学校初年次における行動問題支援推進に必要な研修とサポートを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、計画していた学会参加と対面での研修会が実施できなかった。そのために、その旅費や謝金の支出がなくなり、残額が生じた。 今年度はオンラインでの学会参加、出張、研修会に計画を変更している。そのために、オンラインで実施できる研修会の動画やアセスメント教材が必要になる。とくに、アセスメントは課題を改善した教材にする必要があり、それらに残額を使用する計画である。
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