研究の目的は、行動問題を示す発達障害児に対して、就学前から継続した小学校初年次における支援を特別支援教育担当者が推進するためのプログラムを開発することである。そのために、(1)小学校の特別支援教育担当者が有効な支援計画の作成・活用を推進するためのリー ダー研修、(2)管理職のマネジメント、(3)教育委員会のサポート体制を検討する。 (1)リーダー研修について、1年目の試行結果を踏まえ、16の小学校の特別支援教育コーディネーター(研修者)が研修を受けていない担任と発達障害児の行動支援計画を作成するためのリーダー研修を実施した。機能的アセスメントの理論と方法、担任との検討方法を講義し、研修者が担任とペアで行動支援計画を作成した。研修後に、研修者は研修を受けていない担任と行動支援計画を作成した。2グループに、時期をずらして研修を導入し、効果を反復的に分析した結果、本リーダー研修の有効性が検証された。ただし、研修者当の経験等による違いがみられたことから、研修者に依存しないガイド教材が必要である。 (2)管理職のマネジメントについて、特別支援教育に関するマネジメント29項目と行動支援計画に関するマネジメント15項目を作成し、行動支援計画を実施した小学校の校長16名に、重要度と実行度の評価を得た。その分析から、学校で行動支援計画の作成や活用を推進するためには、特別支援教育体制整備と重なるチーム運営や資源が重要であること、アセスメント・支援計画やデータ活用は情報提供が必要であることが示唆された。 (3)教育委員会のサポート体制について、研究実施地域の教育委員会担当者へのインタビューから、就学前から小学校へ継続した行動支援計画の作成・活用のためには、幼小支援会議、入学後の支援計画の活用、ワークショップ、事後評価の運営をサポートすることが重要であることが示唆された。
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