研究課題/領域番号 |
19K02931
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研究機関 | 静岡福祉大学 |
研究代表者 |
小川 勤 静岡福祉大学, 子ども学部, 教授 (60448272)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 就労支援 / 発達障害学生 / 就労支援事業所 / セルフ・アドボカシー・スキル / 就労後のフォローアップ / 仕事理解 / 自己理解 / 移行支援 |
研究実績の概要 |
本研究は,発達障害学生がその障害特性から就労に関して多くの困難を抱えているという事実から,大学から社会へ移行する間の支援プロセスに着目し,発達障害学生自らが「自分の障害特性を理解し,他者に説明し,自分が必要とする支援を他者に求めていく行動を起こせる力」,すなわち,セルフ・アドボカシー・スキル(以下、SAS:自己権利擁護力)の獲得を目指して,支援者の支援方法や学外の就労移行支援事業所(就労支援事業所)と連携した支援の在り方について研究を行うことを目的とする。 従来の発達障害学生支援は,各自の障害特性に応じた対処療法的な支援が中心であった。しかし,大学から社会への移行を見据えた支援では,障害学生自らが障害特性を理解するとともに,自らの障害特性に合致した仕事の理解という教育的アプローチからの支援が欠かせない。このため,就労について豊富なノウハウを持つ就労支援事業所と連携することで,修学支援から就労支援,さらに就労後のフォローアップを含めた包括的・長期的な支援を含む実効性の高い教育プログラムを研究し,障害学生の大学から社会への移行がさらに円滑になることを目指す。具体的には就労支援事業所との協議を通して,移行支援における機能や役割について相互理解を深めるために2つの就労支援事業所を訪問調査を実施した。また、就労支援事業所において研究開発したSAS獲得を目指した教育訓練を実施し,プログラムの有効性を検証するための準備作業に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019(令和元)年度は、2つの就労支援事業所に対する訪問調査を中心に研究を実施した。調査内容は、就労支援事業所の実態調査と大学と就労支援事業所が連携協力を行う場合の効果と課題について聞き取り調査を中心に実施した。その結果、大学における支援のエピソード等の支援記録データを就労支援事業所と交換することにより、相互の支援がある程度スムーズに進行するなどの連携協力を成功に導くための要因を抽出することができた。また、就労支援事業所は事業所ごとに、それぞれ異なる支援機能や特徴を持っていることが明らかになった。大学が就労支援事業を利用する際にはこのことを事前に十分理解して利用する必要があることも今回の調査から明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
2020(令和2)年度は、初年度(令和元年度)に引き続き、全国の就労支援支援事業等を訪問調査を実施し、移行支援における大学と就労支援事業所の機能や役割について相互理解を深めるためのヒアリング調査を実施するとともに、就労支援事業所において研究開発し、実践しているセルフ・アドボカシー・スキル(SAS)獲得を目指した教育訓練の実態を調査し、プログラムの有効性やSAS獲得のための大学との連携の在り方等についてさらに研究を深化させる予定である。
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