研究課題/領域番号 |
19K02934
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
肥後 祥治 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (90251008)
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研究分担者 |
衛藤 裕司 大分大学, 教育学部, 教授 (00284779)
有村 玲香 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (20713689)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域に根差したリハビリテーション(CBR) / 療育システム構築 / 行動分析 / 行動コンサルテーション / 離島 |
研究実績の概要 |
2019年度の研究は、2つのフィールドにおいて実践研究の展開を行った。
第1研究フィールドは、鹿児島県大島郡徳之島であった。7月に徳之島内の自立支援協議会の子ども部会に対して研究の趣旨と目的について説明を行い、了承を得ることから、10月以降6回にわたり徳之島を訪れ、上記子ども部会の共同で支援者向けの行動分析ワークショッププログラム(6回)を実施した。合計7回の訪問となった。収集したデータは、プログラム参加前後の、行動分析の知識(KBPACで測定)および心理的状態(POMS2で測定)の変化および参加に対するアンケート、また、保護者や教師をはじめとする支援者に対する啓発や研修のための講演会も実施した。これらにおいて収集した資料は、現在分析中である。また、この地域における障害児の療育システムの構築に関するプログラム参加者によるワークショップも実施した。次年度は、今回行動分析ワークショップに参加した支援者とともに、保護者向けのプログラムの実施を企画していく。
第2研究フィールドは、鹿児島県大島郡瀬戸内町(奄美大島)において令和元年10月~令和2年2月にかけて合計5回の研修会と行動コンサルテーションを実施した。参加者は、瀬戸内町内の地域に根ざした障害のある子どもに携わる専門家6名と地域の福祉関係者であるが、困難ケースに対する新たな対応策に苦慮していた。そこで行動分析に基づく指導方法と、ケース検討方法の獲得を目指したアプローチを行った。参加者は、行動分析に基づく指導方法の獲得と継続・一貫した参加者同士での学び合いに積極的に参加していた。今後は、参加者から得られたデータを分析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を企画した当初、研究の初期にフィールドの決定を行う予定であったが、2つの研究フィールドを早期に決定できたため、実質10月頃より、フィールドに入ったアクションリサーチを展開することができた。また、2019年度は、台風等の天候上の問題に幸い遭遇することもなく、予定通りの資料収集ができたことも研究全体の進展にとって、非常に幸運であった。収集した資料の分析を現在進めており、2020年度のフィールドへの準備を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究は、フィールドごとに以下のように考えている。 第1研究フィールドは、2019年度に研修を受けた支援者とともに保護者支援の実践を行うフェーズに入る。コロナウイルスの影響もあり予定の実施時期からは、2カ月近く遅れているが、7月からの実施を検討している。また、上記ウイルスの問題により、直接フィールドに介入できない場合は、遠隔会議の技法も利用して、実施していく予定である。 第2研究フィールドにおいては、2019年度収集した資料を精査する中で、対象となった地域のキーパーソンと打ち合わせを行うなかで問題に取り組める方向性について議論をおこなった後に、実際の介入を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者が、2019年度末に旅費を用いての調査を予定していたが、コロナウイルスの蔓延により、調査先への訪問を実施できなかったため旅費相当分を予定通り支出できなかった。2020年度もコロナウイルスの影響が収まって時点で改めて、調査を企画しできるだけ早期に執行する。
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