研究課題/領域番号 |
19K02934
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
肥後 祥治 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (90251008)
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研究分担者 |
衛藤 裕司 大分大学, 教育学部, 教授 (00284779)
有村 玲香 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (20713689)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域に根差したリハビリテーション(CBR) / 療育システム構築 / 行動分析 / 行動コンサルテーション / 離島 |
研究実績の概要 |
離島フィールドとしたアクションリサーチである本研究は、2020年度COVID-19による離島への渡航規制等により、その実施に多大な影響を受ける中で遂行された。実際には、研究手法の変更(第1研究フィールド)や研究のための情報収集の一時停止(第2研究フィールド)などであった。 第1研究フィールド(徳之島)は、当初、2019年と同様の訪問計画を立てていたが、COVID -19の影響のため島外からの訪問が長期に渡り禁止されため、徳之島自立支援協議会の子ども部会との合議をへて、予定していた支援者向けの行動分析ワークショッププログラム(新規研修と継続研修;5回)と保護者向けの行動5分析ワークショップ(5回)をZOOMを用いた遠隔方式で実施した。前者の2つのプログラムは、2019年同様に行動分析の知識(KBPAC)および心理的状態(POMS2)のプログラム実施前後の変化および参加に対するアンケートを実施した。後者のプログラムは、今年度初めて実施したプログラムでありその効果評定のために行動分析の知識(KBPAC)およびうつ度の評価(BDIⅡ)をプログラム実施前後に実施し、さらに参加に対するアンケートを実施した。2019~2020年に行われた2つの支援者のワークショッププログラム(新規および継続研修)では、参加者のKBPACの平均値が実施前後において統計的に有意な増加が確認された。2020年に実施された保護者支援プログラムの参加者も同様に行動分析に関する知識において実施前後に有意な平均値の増加が確認された。他の指標についても現在2019年の結果と併せて分析中である。 第2研究フィールド(奄美大島)でのフィールドワークによる情報収集は、COVID-19の影響のため島外からの訪問が長期に渡り禁止されため、2020年度は停止することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、COVID-19の影響を受けフィールドワークが大きく制限を受けることになったが、第1フィールドのカウンターパートである自立支援協議会の子ども部会との合議により、プログラムの実施方法を遠隔方式に変えることにより、今後の研究方法の新たな展望をつかむことができた。 第2研究フィールドは、今年度は、フィールドサイドの問題で研究活動の一時停止を余儀なくされたが、第1研究フィールドの研究実績を踏まえて、次年度の実施の再検討が可能となったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本研究の最終年度となるが、これまでの研究の流れを継続する研究と新たに立ち上げる先導研究の2つに分ける予定である。 これまでの研究対象、手法を用いる研究:第1研究フィールドと第2研究フィールドの研究は、2019~2020年度の研究対象、研究手法を引き続き用いながら、COVID-19への対応も踏まえながら引き続き同様の研究を実施していく。 先導研究:第1研究フィールドにおいて、研究対象を島内の公立学校に拡張していく。方法は、2019~2020年度の第1研究フィールドで採用したものに準ずる。ここでもCOVID-19への対応も踏まえながら遠隔方式のプログラム実施も視野に入れて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、離島(徳之島地区、奄美大島地区)をフィールドとするアクションリサーチ(プログラム提供による効果評定)であり、研究費の多くの部分を旅費の拠出にあてた研究であった。2019年度末から2020年度一杯、COVID-19の影響により、フィールドへの訪問がほとんど難しい状況となった。徳之島地区の研究は、遠隔形式でのプログラム提供が可能となったため、研究方法の変更によって実施を行っていったが、奄美大島地区のフィールドにおいては、それらの変更が困難なために、2020年度は実際のフィールドへの介入を行うことができなかった。このため、奄美大島地区担当であった研究分担者は、研究費の執行ができなかった。2021年度は、COVID-19の影響を見ながら、訪問スタイルのプログラムと遠隔スタイルでのプログラムの提供を実施していきたい。また、2021年は、研究の最終年度であることを意識しながら研究の総括を行う予定である。
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