研究課題/領域番号 |
19K02935
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
日高 茂暢 佐賀大学, 教育学部, 講師 (20733942)
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研究分担者 |
室橋 春光 札幌学院大学, 心理学部, 教授 (00182147)
片桐 正敏 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00549503)
富永 大悟 山梨学院大学, 経営学部, 講師 (30795597)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知的ギフテッド(知的Gifted) / 発達障害(神経発達症) / 心理アセスメント / 性格 / 特別支援教育 / 臨床心理学 |
研究実績の概要 |
高い知能を有する人(知的Gifted)の心理情動に関する特徴として、刺激に対する感受性の高さ(Overexcitabilities, OE)がある。OEは精神運動性、想像性、感覚性、知性、情動性の5領域があるとされ、知的Gifted児者の知的発達や課題への傾倒を促す一方、感情の起伏や興奮性等、生活に負の影響を与える場合があるとされる。本研究では、知的Gifted児者、および保護者の困り感の要因の1つとして、OEを取り上げ定量的な評価尺度を開発することを目的とした。2019年度はOEの評価を行った先行研究の収集と分析を行った。特にFalk et al(1999)によるOEQーIIの翻訳、および健常成人を対象にした予備調査を遂行することができた。 調査結果を探索的因子分析を行ったところ、FalkらのOEQ-IIと同様に、5つの因子解が得られた。因子解は先行研究同様に5つのOE領域と考えられた。またOE特性と誤診リスクが高いとされるADHD特性等の発達特性との相関分析、および主成分分析を行った。その結果、OEQとADHD特性に高い相関が認められた。本調査の結果から、知的Gifted児者のOE特性はADHD特性と非常に類似した行動特性を示すと考えられた。従って、さらなる理論的・実証的検討を行い、OE特性とADHD特性の共通項と差異を明らかにする必要があると考えられた。 また本研究グループは、知的Gifted児者親の会と連携し、臨床的心理支援や話題提供等のアウトリーチ活動を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに進捗している
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の結果を踏まえ2020年度はOEを評価する尺度開発を続行する。また2019年度に明らかになった知的Gifted児者は発達障害とのオーバーラップ(いわゆる2E)の可能性と誤診のリスクを内包している点について、知的Gifted群、発達障害群、2E群、健常発達群といった群間比較を通じて、OE特性の理論的、実証的検討を行うことを予定している。 なお、2020年度も親の会と協同してアウトリーチ活動を継続する予定である。
また今年度は新型コロナ感染症対応のため、対面での調査が困難であるため、対象者のリクルートやアセスメント等の方法について、オンライン化を進め、できる限り正確なデータ収集ができるように留意するとともに、個人情報保護と倫理的問題に最大限の配慮を行い遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
各所属機関の状況に照らし、本研究で使用する知能検査WISC-IV等の検査道具の購入数を減じた事、および研究協力者の人件費や研究参加者への謝金を要する場面がなかったため、当初計上した予算よりも少ない支出に抑えることができた。 次年度使用額とする分は、翌年度分の予算と合わせ、開発する尺度についてオリジナル版の著者らとの交流・論文化にかかる英文校閲費、および当事者の研究参加者への謝金にあてる予定である。
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