研究実績の概要 |
2021年度は,コロナ禍の状況を鑑み,インタビュー調査を見合わせていた。そのため,文献のまとめやオンラインによる情報収集などを行った。
特に,DSMでは同等のクライテリアとされている障害の状態像として,知的障害に関する文献研究や翻訳などに着手した。知的障害については,メンタルヘルスの問題が指摘されながらも(simoyama,2017)心理的支援の際には,どうしても支援の中核的対象とはされにくい面があると言われているが(中島,2020),障害をどのように捉えて,障害をもつ人の周囲の人々が障害を抱えていくかという点で,発達障害をもつ子の養育している保護者と強く関連があった。 そこで,2021年度心理臨床学会自主シンポジウムでは,「知的障害をもつ人への心理療法ーその心もとなさを抱えるためにー」と題し,企画した。シンポジウムでは指定討論者として、Sinason,Vの著作「Mental Handicap and the Human Condition: An Analytic approach to Intellectual Disability」(知的障害のある人への精神分析的アプローチ:人間であるということ、監訳:倉光修・山田美穂、訳中島由宇・櫻井未央・倉光星燈 ミネルヴァ書房)を紹介した。筆者らが翻訳をし、2021年に発刊した。それらを踏まえ,障害を目の当たりにしたときに養育者や支援者に現れる「心もとなさ」の要因について検討がなされた。 2022年度は,これらの知見も活用しながら,外表性障害との違いを明確にしていくよう,準備をしている。
|