子どもの発達障碍を養育者が受容する困難さは何かー障碍受容を支える心理支援法の開発

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K02936
• 研究機関: 杏林大学
• 研究代表者: 櫻井 未央 杏林大学, 保健学部, 講師 (10807829)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 発達障害 / 障害受容 / 親

研究実績の概要

本研究は、発達障碍のある子どもを育てていく上での困難感に焦点をあて、それらを養育者がどのように経験し、それを受け入れ、自分の子育て感を変容させていくのか、またそれらを促していく支援する方法はどのような点としてあるのかを検討してきた。
第１期の研究として、障害観や障害意識の変容がどのような過程で生じていくのか、といった先行研究をまとめ、それらを踏まえて障害観をどのようにインタビューしていくか、その姿勢について意見論文として質的心理学フォーラムに投稿した。
第２期の研究として、インタビュー調査のインタビュー項目について検討した。先行研究では、ダウン症など知的な障害をもつ養育者の障害受容に関する研究が多かったことから、知的障害の事例研究の翻訳や知的障害への精神分析的アプローチに関して論考として発表した。それらでは、障害のある子どもの側にも、障害のある子どもに関わる大人の側にも、精神分析の理論では、投影的な心的機能がはたらき、「障害」が動的に形成され、相互に作用していることが理解され、それらについて詳細を論じた。よって、インタビューでも養育者側の要素だけでなく、子どもの側の状態像や関わり方がどのようなものだったかという点も詳細にうかがっていくことで、その動的な親子の相互作用がみていくことを想定した。
第３期の研究として、実際にインタビュー調査を行った。インタビューの進捗は、コロナ禍のため遅延している状態である。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

２０２１年度にコロナ禍の影響を受け、対面でのインタビュー調査に協力してくださる方が少なく、研究が滞っている状態であった。そのため、２０２１年度は、研究デザインとして、インタビューを用いない研究や、非対面の形式でのインタビューが質的にどのような要因となるか、といった点を模索していた。
２０２２年度には、前年度の経験を踏まえ、ＺＯＯＭ等を用いた非対面形式でのインタビューを実施することとし、インタビュー調査を開始することができた。

今後の研究の推進方策

２０２２年度に行うことができたインタビュー調査の分析を進め、論文投稿に進んでいく予定である。

次年度使用額が生じた理由

【当該助成金が生じた状況】（１）学会がオンライン開催され、旅費の使用がなかったため。（２）インタビューの逐語録をアルバイト依頼せず、テープ起こし機関に依頼したり、音声入力の無料ソフトが使用できたことなどによって、計上よりも予算がかからなかったため。

【次年度の助成金使用計画】インタビュー調査の分析にあたって、分析の信頼性妥当性の確認のために協力者を募り、チェックしてもらうため、謝金としての使用などを予定している。