研究課題/領域番号 |
19K02941
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田部 絢子 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70707140)
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研究分担者 |
高橋 智 日本大学, 文理学部, 教授 (50183059)
田村 文誉 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (60297017)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / 特別支援教育 / 食の困難 / 発達支援 / 本人・家族包括型支援 |
研究実績の概要 |
本研究は5つの調査を通して、発達障害等の食に困難を有する子ども・保護者を孤立させず、エンパワメントしながら支えていくための「子ども・家族包括型の発達支援システム」のあり方を検討することである。2021年度も引き続き、新型コロナウィルス感染症流行による出張・研究交流等の制限を受け、当初計画していた研究スケジュール等の変更を余儀なくされた。そのなかで実施した研究実績は以下の通りである。研究成果は論文にまとめ、学会誌及び大学紀要に投稿中または掲載されている。 ① 2021年度に引き続き、自閉症スペクトラム障害・知的障害等の当事者が有する食の困難やその発達支援に関する国際的な研究動向を概観し、食の困難を有する自閉症スペクトラム障害・知的障害当事者とその家族を支える支援の課題を検討した。 ② 長引くコロナ禍における心理的感情的な苦痛、貧弱な社会的相互作用、遊びや娯楽の機会の欠如、封鎖による行動制限は、子どもに膨大な不安・緊張・抑うつ・ストレス等を蓄積し、子どもの食の困難およびそれに伴う各種の発達困難を引き起こしていることが想定される。コロナ禍における子どもの発達上の困難・リスクに関する国内外の研究動向を概観し、子どもが生きていく上での基盤となる食を中心に発達支援の課題を検討した。 ③ 食・睡眠等の日常生活と心身の不調等に関する実態を把握するため、2021年度に中学生・高校生・大学生を対象として実施したオンライン質問紙法調査の結果を分析し、ストレスや不定愁訴と睡眠困難、食の困難が関連していることを明らかにした。 ④ 全国の児童発達支援センターにおいて、就学前後の子どもが抱える食の困難に関する相談に対応している職員(管理栄養士・保育士等)対象のオンライン質問紙法調査を行い、就学前後の子どもとその保護者の食に関する困難・支援ニーズ、支援体制の実態を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度も引き続き、新型コロナウィルス流行とそれによる出張・研究交流等の制限を受け、当初の研究計画の変更を余儀なくされた。具体的には、以下の通りである。 ① 北欧諸国における現地調査を当該年度においても2回計画していたが、全く実施できなかった。 ② 児童発達支援センターにおける調査については、関係者との研究交流等が制限されたために面接法調査は実施できず、質問紙法調査のみの実施となった。 ③ 保健所への調査については、コロナ関連の業務により保健所がひっ迫する中、本調査を実施することは自粛し、2022年度に持ち越しとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も新型コロナウィルス感染症流行による先の見通しを持ちにくい状況にあるが、発達障害等の食に困難を有する子ども・保護者を孤立させず、エンパワメントしながら支えていくための「子ども・家族包括型の発達支援システム」のあり方を検討するため、研究計画の見直しとスケジュールの再調整を行う。その上で以下の課題に取り組む。 ① 全国の保健所の管理栄養士等へのオンライン質問紙法調査 ② A市児童発達支援センターにおける発達障害等の子どもの保護者へのオンライン質問紙法調査 ③ 首都圏の特別支援学級(自閉症・情緒障害)・通級指導学級(情緒障害等)を設置する小・中 学校の養護教諭及び学校歯科医への質問紙法調査 ④ 状況を鑑みながら、子ども・家族包括型発達支援システム先進国の北欧諸国訪問調査を計画する
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、北欧諸国における訪問調査が実施できず、国内の調査においても調査協力施設との調整に遅延があり、実施できていないため、2021年度は計画通りの経費執行ができなかった。2022年度においては、引き続きコロナ禍における研究活動への影響があるが、研究スケジュールと方法の調整を行いながら、2020・2021年度計画を含めて、調査研究を遂行し、経費を執行する予定である。
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