本研究はオンライン教室合同学習によるICT訪問教育をより充実させ,拡大することを目的とし,京都府立向日が丘支援学校,北海道稚内養護学校,北海道旭川養護学校の3校の協力を得て研究を継続した。COVID-19の感染状況はゴールデンウイーク後に一時的な拡大をみたものの減少傾向にあり,またオミクロン株による症状が多くの場合軽症あるいは無症状であることから,対象3校でも通学生は対面授業が日常になってきた。また,COVID-19の感染リスクを避けるために訪問教育は中止されることがあったが,それも徐々に解除されてきた。向日が丘支援学校ではICTを活用した特別支援教育の在り方や教育プログラムの開発を担う担当部門が創設された。そこでは昨年度までオンライン訪問学級を担当し,経験を蓄積した教員が担当することになった。ICT教育活動が研究段階から実用段階に大きく前進し,本研究もその一翼を担うことができた。旭川養護学校では複数の訪問生を対象に通学生とのオンライン教室合同学習が継続された。また,宿泊研修や見学旅行ではオンライン教室システムを援用してオンラインで事前学習を行い,これらの実施に際しては訪問生もオンライン参加を果たすことができた。さらに,ダンス,音楽,理科実験,調理学習,園芸栽培活動などの多様な教育活動についてもオンライン参加が行われ,ICT訪問教育の拡大事例を蓄積できた。稚内養護学校ではICTの活用に加えて,様々なコミュニケーション支援機器を併用することに取組み,理解表現能力やコミュニケーション環境を向上させ,ICT活用の有用性を高めることができた。一方で,我々研究者が対面で授業参観をしたり,評価データを収集するために学校や訪問生居宅に行くことは引き続き困難であった。そのため,オンラインで授業参観や関係教員とのミーティングを行って評価や報告書作成の準備を行った。
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