発達障害の示す実行機能における性差を、行動指標(行動データ)と生理指標(事象関連電位データ)の組合せによって検討することを目的とした。しかし、新型コロナウイルス感染症とシールドルームの水漏れ被害のため、脳波計測を伴う心理生理実験データの取得が困難であった。そのため、取得済みの時間判別課題と情動処理課題のデータに対して、自閉性傾向と衝動性傾向を発達障害の個人差要因として組み込んだ解析を展開した。時間判別課題において、学習した時間間隔を判断する際のP350は男性よりも女性が大きな振幅を示し、この振幅の変動は衝動性傾向と関連する可能性が示唆された。情動処理課題では、明確な性差は示唆されなかった。
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