研究課題/領域番号 |
19K02948
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
和田 恒彦 筑波大学, 人間系, 准教授 (70438993)
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研究分担者 |
徳竹 忠司 筑波大学, 人間系, 講師 (80251007)
浜田 淳 筑波大学, 人間系, 講師 (80261767)
緒方 昭広 筑波大学, 人間系, 教授 (80516708)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 特別支援学校理療科 / 超音波測定装置 / 低周波鍼通電 / 筋通電 / 神経近傍通電 |
研究実績の概要 |
低周波鍼通電療法において、同一筋を収縮させる手法の筋通電、神経近傍への通電(以下神経通電)の違いを、超音波画像測定装置(以下超音波)により観察した。 健康成人男性に対し、各被験者に2回ずつ、筋通電は右側腓腹筋内側頭の筋腹、神経通電は右膝窩部脛骨神経近傍に超音波ガイド下で刺鍼し、1Hzにて通電を行った。電流量は(a)超音波で筋腹部の動きを確認できる最小電流量(以下最小電流)、(b)超音波で筋腱移行部の動きを確認できる最小電流量(以下移行部初動電流)、(c)被験者が痛みを自覚せず最大の筋収縮が得られる電流量(以下最大電流)の3段階で確認した。腓腹筋内側頭の起始部、筋腹部、筋腱移行部の3箇所で、矢状断面像を撮影した。筋腹部では水平断面像の撮影も行った。 筋通電:電流量平均値は、最小電流、移行部初動電流、最大電流全ての間に統計学的有意差が認められた(p<0.01)。腓腹筋の動きは刺鍼部位周囲から起こり、電流の上昇に伴い範囲は拡大し、動きが大きくなった。ヒラメ筋は腓腹筋の収縮・弛緩によって押されるように見えた。 神経通電:電流量平均値は、最小電流、移行部初動電流、最大電流のうち、最小電流と最大電流、移行部初動電流と最大電流の間に統計学的有意差が認められた(p<0.01)。腓腹筋の動きは最小電流と移行部初動電流の間で筋通電のように筋腹からの範囲の広がりや動きの大きさの増加は見られなかった。ヒラメ筋は腓腹筋と同程度、または同程度以上に大きく動く様子が観察できた。最大電流時には、水平断面像で腓腹筋・ヒラメ筋間筋膜が歪む様子を観察した。 腓腹筋の収縮は筋通電では刺鍼部位を中心に、神経通電では筋全体で生じていることが推察できた。ヒラメ筋が、腓腹筋通電では収縮せず脛骨神経通電では収縮する様子も確認できた。 筋通電時と神経通電時では、腓腹筋の動きに違いがあることを超音波画像上で捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年4月~6月末まで、所属している本学理療科教員養成施設はオンライン授業になり、研究拠点となっている理療臨床部は休診だったため、研究を行うことができなかった。その後は計画通り遂行できているが、前記期間中活動できなかったので、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
筋肉に刺鍼する筋パルスおよび神経近傍への刺激を行う神経パルスの刺鍼の収縮様態については検証できた。 視覚障害者に適した刺鍼部位決定方法、刺鍼方法、刺鍼部位、刺鍼深度、視覚障害者特有の課題と低周波鍼通電装置との関係を踏まえ、神経パルスに関する教育プログラムを作成する。教育プログラムを盲学校理療科生徒で実践、検証し、教育プログラムの有効性を確認する。 完成した教育プログラムを資料、動画に編集し、全国の盲学校理療科に公開し、理療教育に寄与する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度、コロナ対応のため計画遂行が遅れたため、本年度本施設の人事異動および指定養成機関の申請の年度と重なってしまったため計画遂行が遅れ、次年度使用額が生じた。 次年度は、作成された教育プログラムの撮影補助および資料整理のために人件費を使用する予定である。 また、研究成果発表等のために、全国の視覚特別支援学校へ、教育プログラム配布のためにDVDメディア、印刷物、点字資料を送付のためにレターパックによる送付のために物品費を使用する予定である。
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