研究課題/領域番号 |
19K02952
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉村 優子 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70597070)
|
研究分担者 |
田中 早苗 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (80811372)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 自閉スペクトラム症 / 読み書き能力 / 脳磁図 / 縦断調査 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder,以下 ASD)児を対象に就学前から就学後の追跡的調査を実施することにより、早期の聴覚情報の中枢処理である生理学的データが同児の学齢期の認知機能や読み書き能力を予測する指標になりうるかどうかについて検討することである。 さらに、就学前から就学後にかけての支援が、児の認知特性や読み書き能力、保護者の心的状態に与える効果を検討する。 方法として、1)平成21年から平成28年の間に実施した研究に参加したASD児(初回実験参加時、3-5歳児)のうち、小学生以上になり、追跡研究に同意の得られた40名とその保護者に対して調査を実施する。2)対象となる小学校以上のASD児において、認知特性(K-ABC2)、読み書き能力、言語コミュニケーション、社会生活能力、QOL等の評価を実施する。3)幼児期に小児用MEGで捉えた音韻に対する脳反応を解析する。4)言語能力との関連が示唆されている脳機能の指標(P1m)と学齢期の認知特性及び読み書き能力の関連について統計解析を実施する。5)保護者への聞き取り調査を実施し、「対象児がこれまでに受けた支援の内容、「支援への満足度」、対象児の就学前時点及び追跡調査時点(学齢期)での「認知特性」「読み書き能力」「社会性」「行動及び情緒面」、幼児期の「認知機能」及び「脳機能」の関連を明らかにする。 以上を通して、学齢期のASD児の認知特性、読み書き能力、行動特徴に影響しうる、早期の生物学的特徴、支援の方法を検討する。令和4年度には20名の追跡データを用いて就学前期の音韻刺激(声)に対する左右半球の脳反応(P1m)と就学後の読み書き能力の関連について分析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策による実験の中断、積極的なリクルートの自粛などが原因となり、研究の遂行に遅れが出た。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度末まで研究期間を延長し、研究協力者のリクルートを実施し統計解析を実施するためのデータ数を増やす。同時に、得られたデータの分析を進め論文化と学会発表の準備を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大防止による参加者リクルートの自粛、成果発表の延期等の影響により、研究遂行と研究成果報告に遅延が生じた。研究期間を延長し、研究を遂行する。研究参加者への謝金、論文の英文校正と投稿費、研究成果報告のための学会参加費として使用する予定である。
|