研究課題/領域番号 |
19K02968
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
鶴見 昌代 筑波技術大学, 保健科学部, 講師 (60349834)
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研究分担者 |
宮城 愛美 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 講師 (60447258)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音声インターフェース / 視覚障害者 / プログラミング教育 / データサイエンス / 意思決定論 |
研究実績の概要 |
近年の情報技術の急速な発達により,社会環境は大きく変わり,テクノロジーやデータサイエンスを活用して問題解決する力・コミュニケーション力・連携力が強く求められる時代となった.また,最新のテクノロジーにより視覚障害による障壁が減少し,音声による新しいインタフェースVUIも登場した.一方,人口減少による国力低下を補うために各自がテクノロジーをうまく活用し,強みを生かす教育システムの構築が急務である. 本研究では,最新のインタフェース技術動向およびこれまでの教育・研究成果を踏まえ,音声インタフェースの高機能化を主軸として,視覚障害者の音声コミュニケーションに関する強みを生かし,視覚障害者の問題解決力を育成するための教育基盤の強化を実現する.この研究の実現により,あらゆる人が活き活きと快適にというSociety 5.0の実現および誰も取り残さないというSDGsの達成にも貢献できるものと確信する. 本研究は,高度専門領域でリーダーシップをとって活躍できる視覚障害者の育成を目的とする.この目的の実現のため,本研究で取り組む主たる課題を次の4点に設定する.①音声対話モデルを中心としたVUI開発環境整備・プログラミング教育の構築,②マイコンや通信技術などを用いたIoT(モノのインターネット)技術の活用,③問題解決力を養うためのデータサイエンス・意思決定論に関する教育・研究,④コミュニケーション力・連携力育成のためのアクティブラーニング構築.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の学術会議において研究成果を公表するのみならず,特別支援に関する著名な国際会議であるCSUNでも講演が採択され,論文の公表や講演を行った. 2020年度には,大手企業の協力を得て,視覚障害者のためのイベントであるサイトワールドにおいて,スマートスピーカーとスマートホームデバイスに関するデモンストレーションを実施し,得られた知見を本プロジェクトに活かすことを計画していたが,感染症の影響によりサイトワールドが中止になったため,デモンストレーションを実施することができなかった. また,スマートスピーカーを製造・販売する大手企業より,スマートスピーカーを150台以上寄贈いただくことができた.このため,希望する視覚障害学生にスマートスピーカーを無償で配布した.スマートスピーカーについて,「今まで知らなかったが,すぐに使いこなせるようになった」と回答する学生が多かった.この配布によって今後このプロジェクトの進展が期待できる. スマートスピーカーを用いた授業を視覚障害者のみが所属する筑波技術大学保健科学部情報システム学科において実施した.さらに,研究に協力している学生が2つの盲学校において体験授業を実施し,盲学校生徒の生活の質を高め,彼らに進路の多様性の気づきを与えることができている.さらにこの指導学生は奨励賞を受賞した. 今後の研究プロジェクトの展開を見据え,文献調査も行っている.
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今後の研究の推進方策 |
高度専門領域でリーダーシップをとって活躍できる視覚障害者の育成を目指し,今後の展開を見据え,さらに論文調査等も含めて,最新情報に関する情報収集を実施しつつ,これまでの成果の学会発表や,論文投稿を目指す予定である. また,今年度も音声ユーザインタフェースを用いた授業を実施して,本研究プロジェクトの意義を確認したい. 問題解決力を養うためのデータサイエンス・意思決定論に関する教育・研究についても今年度は昨年度以上に注力して研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により,計画していた調査が実施できなかった. また,新型コロナウィルス感染症の影響により,研究成果発表のための海外渡航の予定がなくなり,オンライン開催となったため,海外への渡航費が不要となった. 次年度の配分予算と合わせて,情報収集や機材の充実等に活用したい.
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