研究課題/領域番号 |
19K02969
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松田 稔樹 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (60173845)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 縦糸・横糸モデル / 新・逆向き設計手法 / 教師教育 / 教授活動ゲーム / ゲーミング教材 / 問題解決力 / 体系的・系統的指導 / 汎用モジュール |
研究実績の概要 |
本研究の目的は3つである。第1に、問題解決力を継続的・系統的に指導するため、縦糸・横糸モデルに基づく方法を定式化する。第2に、その効果を検証する実践を行う。第3に、モデルを指導するゲーミング教材を開発するとともに、教師教育用教材として模擬授業ゲームを開発する。 基本的に、毎年度、前年度の実践をふまえ、目的1~3の達成度を高めるための改良、改善を行い、効果の確認や修正すべき点の抽出を行うというスパライラルアプローチをとる。 2021年度は、目的1に関して、「総合的な学習の時間」-各教科の探究的活動-各教科の通常授業を連携させて問題解決力を指導するための「新・逆向き設計手法」を進化させ,汎用性・具体性を高めるための設計ポイントの明確化と,実践を行った。具体的には,「総合的な学習の時間」に貢献する各教科の学習成果を明確化し、指針に則した数学,理科のゲーミング教材を開発した。また、中学・高校の数学全単元について、課題学習テーマ一覧を作成した。 目的2と3の教材開発および実践については、教育工学的な教材開発を支援する授業、問題解決的な統計分析を行う授業用に、継続的に縦糸・横糸モデルを指導するゲーミング教材を開発し、実践を行った。授業履修者が少なかったため、教材の形成的評価を行い、改善すべき点を洗い出して、2022年度向けに改善を行った。また、学習を支援する教科書を出版した。なお、継続的な指導ではないが、高校生を対象とした数学と理科の問題解決手順の指導実践も行った。現在、そのログを詳細に解析し、効果を検証している。 模擬授業ゲームについては,新たに開発した理科用のゲーミング教材をベースに理科用模擬授業ゲームを開発した。また、2020年度に開発した模擬授業ゲームについても、授業シミュレーション部分の内容を見直し、再設計した。これらにより、汎用性の高い模擬授業ゲーム盤を開発する準備ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績概要に述べた通り、3つの目的のそれぞれについて、2021年度中に研究実績を上げることができた。特に、目的1では、「逆向き設計」に関連してSDGsの問題解決に活用すべき各教科の学習成果を明確にし、数学と理科を事例に見方・考え方と領域固有知識を関連づけて発想・思考する指導法について、汎用化・定式化に着手できた。また,目的2と3に関しても、複数教科、複数課題での教材開発が進み、大学および高校での実践を行えた。ただし、継続的指導については、実践対象者が少なく、効果を検証するには不十分であった点が課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に、本研究では、目的1~3をスパイラルアプローチで進展させることを想定しており、今後も、この方針で対象教科・分野を広げ、それによって指導法の汎用性を高めると同時に、効果検証の機会・対象を増やしながら研究を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額は、旅費部分であり、2022年1月に予定していた国際会議発表が、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う大学側の判断により、出張中止になったことが理由である。 既に、計画の一年延期が認められており、遠隔での国際会議発表のために、英文校正費、参加費として支出するとともに、国内会議でも発表を行い、参加費として支出する。また、発表のためにも、実践・評価を継続し、そのために必要な教材改善、データ分析作業の謝金として支出する。
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