研究課題/領域番号 |
19K02971
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大平 茂輝 名古屋大学, 情報基盤センター, 助教 (60339695)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 学習分析 / ゲーミフィケーション / 授業時間外学習 / 学習履歴 / 学習モチベーション |
研究実績の概要 |
教育者・学習者の活動を分析することにより、教授法の改善や学習理解の促進につなげることが望まれる。しかし、多種多様な教育・学習環境から大量のデータ(活動履歴)を収集することは容易でない。特に、学習者から主体的に情報を集めることは、目的や態度に個人差があるため工夫が必要である。BYODやデジタル教科書の導入による学習状況のリアルタイムな把握も可能となりつつあるが、授業改善や学習理解に直結する、より深い活動履歴の収集が期待される。そこで本研究では、ゲーミフィケーションのフレームワークを教育・学習活動に適用することによって、授業時間外における学習に対するモチベーションの維持・向上や学習活動の活性化につなげ、授業改善や学習理解の促進に必要な学習履歴を取得することを目的としている。 2021年度は「フィードバック支援の効果の分析」を実施した。2019年度に実施したBookRollシステムの機能拡張によって、PDFファイルだけでなくPowerPointファイルを直接扱うことができるようになった。また、2020年度に実施したツールの機能拡張によって、PowerPoint資料に含まれる各スライドの部分要素に対して、学習者がPC/タブレット/スマホから気軽にコメントを残すことができるようになった。2021年度は、学習者が授業時間中/外に入力した理解度、指摘・コメントした資料中の誤りや理解できない箇所をフィードバックして学習者同士で共有することが可能になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度と2021年度に機能拡張したBookRollシステムとかみレポシステムを用いることで、予定通りに遂行する見込みであったが、コロナ禍により実施されたハイブリッド型の授業では、2020年度に比べて対面授業を選択する学生が非常に増えたものの、感染対策の観点から紙媒体を直接扱うかみレポシステムにより演習内容を収集するという運用は回避されたため、部分的にしか分析を実施することができなかった。また、前年度に引き続いて、コロナ禍による全学オンライン授業実施のためのサポート及びシステム開発という本学情報基盤センターとしての業務に多くの時間を割いた結果、ツールの導入や各種実装等を後期の授業に間に合わせることができなかった。全体として遅れていると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、授業時間中/外の教材閲覧行為や講義・演習資料に対して入力された指摘・コメント・理解度の学生へのフィードバックが学習モチベーションに与える影響を測定する。2020年度と2021年度の全体的な作業の遅れを踏まえて、当初計画通りのシステム化にはこだわらず、本研究代表者が担当する半期の授業2クラス(演習と定期試験を含む)に対してLMSの活用による部分的なフィードバックも含めたシステムの運用・評価を行う。対面授業が2018年度以前のレベルで実施された場合には、2020年度に実施できなかった演習内容の分析を、かみレポシステムによって収集された演習用紙を用いて行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による全学オンライン授業実施のための全学LMSの運用とサポートやLMS連携システムの開発・運用に多大な時間を割いたため。これまでに収集した学習履歴の分析とフィードバックに注力し、費用もそちらに当てる計画である。
|