教育者・学習者の活動を分析することにより、教授法の改善や学習理解の促進につなげることが望まれる。しかし、多種多様な教育・学習環境から大量のデータ(活動履歴)を収集することは容易でない。特に、学習者から主体的に情報を集めることは、目的や態度に個人差があるため工夫が必要である。BYODやデジタル教科書の導入による学習状況のリアルタイムな把握も可能となりつつあるが、授業改善や学習理解に直結する、より深い活動履歴の収集が期待される。そこで本研究では、ゲーミフィケーションのフレームワークを教育・学習活動に適用することによって、授業時間外における学習に対するモチベーションの維持・向上や学習活動の活性化につなげ、授業改善や学習理解の促進に必要な学習履歴を取得することを目的としている。 2022年度は、授業時間中/外の教材閲覧行為や講義・演習資料に対して入力された指摘・コメント・理解度の学生へのフィードバックが学習モチベーションに与える影響を調査した。授業を十分に理解できていない学生に対するフィードバックが学習モチベーションの維持ならびに学習内容の理解に寄与することを確認した。一方で、主体的に学ぶ姿勢に乏しい学生については、授業に参加する最低限のモチベーションが必要であり、オンライン上のフィードバックのみでは学習内容の十分な理解につながらない可能性が示唆された。コロナ禍の下、全学オンライン授業実施のためのサポート及びシステム開発という、本学情報基盤センターとしての業務に多くの時間を割いたことにより生じた全体的な遅れを取り戻すことはできなかった。当初計画通りのシステム化にこだわらず軌道修正を繰り返した結果、本研究代表者が担当する半期の授業2クラス(演習と定期試験を含む)におけるLMSの活用による部分的なフィードバックの影響評価にとどまったことから、未達成の内容については今後の課題としたい。
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