研究課題/領域番号 |
19K02980
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
柴田 隆史 東海大学, 情報通信学部, 教授 (90367136)
|
研究分担者 |
佐藤 和紀 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30802988)
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ICT / タブレット端末 / 学校 / 教育 / 学習環境 / 健康 / 視覚疲労 / 近視 |
研究実績の概要 |
本研究の実施期間における大きな変化は、GIGAスクール構想により児童生徒が1人1台のデジタル端末を使う状況になったことである。学校のICT環境の整備が急速に進んだため、児童生徒の健康面への対策の必要性が一段と増した。本研究の目的は、児童生徒の健康面やICT機器の使いやすさの観点から、ICT機器を快適に使える学習環境を提案することである。3年目(令和3年度)は、児童生徒が自らの健康を意識してICT機器を使うことを意図して、目と画面との距離を30cm以上にすることを心掛けるための学習活動を検討して、小学校及び中学校において実践した。 児童生徒の健康に配慮する指針の一つとして、目と学習者用コンピュータの画面との距離を30㎝以上離すことが挙げられている。それを実現する方法として、本研究では、人間工学の視点から自分の腕の長さを実際に測って知るという方法を考案した。そして、授業実践を小学校2校の5,6年生、及び公立中学校1校の1,2,3年生を対象として行った。測定の結果、小学5年生から中学3年生までの計128名において、肘から中指の先までの長さは全員30cm以上であることが示された。また、授業後の感想からは、自分の腕の長さを手掛かりにすることで簡単に視距離を30cm以上にできるという意見があり、良い効果がある可能性が示唆された。 さらに、学校での利用を想定したチェックリストに関して、これまでの検討内容や文献調査、さらには近年における近視予防対策などの動向を踏まえながら、必要となる項目の抽出や議論を進めた。今後の研究の展開として、そのチェックリスト項目の表現方法について、映像メディアの活用を検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では児童生徒のICT機器利用について検討するため、研究を遂行するためには学校や教員などの協力を必要とする。当初の研究計画通り、その協力を得ることができ、調査や意見交換などを実施している。また、本研究の成果発表(学会発表など)を行っていることなどに加え、研究の全体計画から考えて、おおむね順調に進展していると考える。本研究の目的をより精緻に達成するために、学校教員への情報提示における表現方法について、さらに検討していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
児童生徒の健康面として特に視覚疲労や近視に着目し、対応策を見出すために現状の把握と検討を引き続き行う。また、教員が人間工学的視点を理解し、日常の授業の中で児童生徒に適切なICT機器利用の指導ができるようにするために、教員に対する指導方法を検討する。そのために、チェックリストの表現方法や学校での効果的な運用方法を検討する。 さらに、文部科学省によるGIGAスクール構想や、児童生徒の自宅でのオンライン学習の機会増加に伴い、画面を見る時間が長くなっている。そうした状況も鑑み、学校教育の情報化を支援することを目指し、児童生徒の負担や使いづらさを軽減した快適な学習環境を整えるための方法を検討する。また、児童生徒自らが健康面に配慮してICTを活用できるリテラシーを身に付ける方法を検討する。それにより、研究成果が効果的かつ早期に教育の現場や社会に活用されるよう研究を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)基本的に計画通りに研究を推進し、研究成果を海外で開催される国際学会で発表する予定であったが、コロナ禍によりその学会が延期となり、海外出張が取りやめとなったためである。加えて、オンラインの活用により国内旅費の支出が減ったためである。 (使用計画)繰り越し分の助成金により、当初の研究計画、及び本研究の目的をより精緻に達成するための研究計画に沿って研究を遂行する。
|