研究課題/領域番号 |
19K02981
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
金子 智栄子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70257442)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロティーチング / 保育者研修 / 力量形成 |
研究実績の概要 |
審査論文1本と学会発表2本により、研究実績を公表した。 新任保育者を対象に、保育科4年次学生5人を幼児役としてMTを実施した。5歳児対象で,風車作りをして風を探して楽しむ活動である。MTの手続きは、保育実践(約30分)後の検討会(約30分)での反省を生かして同じ内容の実践を繰り返し、再度検討会を行うものである。「個別配慮」や「説明の仕方」は改善が認められたが、「手本の提示」「注意の集中」「時間配分」「子どもの心情理解」「安全管理」などで課題が残された。ただしMTの有効性として、保育者役は状況に合わせて工夫して対応することの重要性を自覚し、「実践がイメージとのずれを実感させ、反省を踏まえて保育実践を繰り返すことで柔軟な対応が可能になる」ことを認識し、特に若手の保育者への効果が大きいとの見解を示した。さらに1ヶ月半後の追跡調査では、日常の保育において様々な視点で観察するようになったことが分かった。効果測定では、MT有効性、保育者の力量、保育者効力感でほぼすべての項目で有効性が認められた。ストレス対処では、子ども(集団)の理解や関わりだけでなく、園内での人間関係の形成にも役立つとされ、園内研修でのMTの新たな有効性が示された。この研究成果は本学の査読付き紀要にて公表した。 なお、幼児役学生は、適切な保育環境(物的・人的)を整え、子どもの個人差を理解して個別指導ならびに集団指導を行い、保育を模索して自己研鑽することを学んでいた。この学びが知識不足を補うことになり、ストレス対処となったと考える。MTによる研修効果は保育者役に焦点を当てて論じられることが多いが、子ども役にも効果が多いことが分かった。この研究成果については2020年5月の日本保育学会で発表した。また、MTにおける保育実践の繰り返しの効果は、テキスト・マイニングを用いて可視化し、2020年9月の日本教育心理学会で発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度は、現職保育者が子ども役となる園内研修の他、保育科学生が子ども役となるMT(簡易型)を6回、合計7回行った。キャリアや活動の種類の相違を踏まえてデータを収集していることから、当初の計画以上に進展していると考える。現在、得られたデータを基に逐次、①尺度評定と自由記述、②観察者による保育実践の行動評定、③保育実践や検討会の逐語記録、④長期的効果について、マルティメソッドの分析を行っている。 2019年10月に、千葉市内の幼稚園においてベテラン教諭が保育者役となり、同僚である現職保育者が幼児役となるMTが園内研修として実施された。長期的効果として、1か月後の現場での保育実践への影響についてもデータを収集した。MTにおける保育実践の繰り返しの効果については、テキスト・マイニングを用いて可視化して、内省を裏図ける結果が得られたため、日本教育心理学会で発表の予定である。 保育科学生を幼児役とするMTは、8月6日に新卒保育者(A)、8月26日に中堅保育者(B)、8月27日に中堅保育者(C,D)を保育者役にして行われた。活動内容はAとDが製作で静的活動、BとCが運動遊びで動的活動だった。まず新卒保育者であるAを対象にしたMTの研究成果を2019年度の文京学院大学人間学部紀要にて公表した。さらに幼児役の保育科学生も多くを学んでいたことから、学びの様相を2020年5月の日本保育学会で発表した。 なお、キャリアによるMTの効果を検討するため、Aの活動内容を(風車作成して風を探す活動)を、園長級のベテラン保育者(E)、中堅保育者(C)に実施し、活動内容を統制して、現在、分析している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に引き続き、現職保育者あるいは保育科学生が幼児役となる模擬保育を導入したマイクロティーチング(MT:『簡易型』)について、①尺度評定と自由記述、②観察者による保育実践の行動評定、③保育実践や検討会の逐語記録、④長期的効果など、マルティメソッドの分析を行う予定である。①の測定尺度は、MTの有効性、指導技術、保育者の力量、保育者ストレス、保育者効力感などである。また、実際の幼児を対象にしたMTも実施予定ではあるが、コロナウィルス感染拡大の危機的状況にあり、現場との連携が取れない状態である。状況を鑑みて研究を推進していく予定である。 2019年10月に、千葉市内の幼稚園においてベテラン教諭が保育者役となり、同僚である現職保育者が幼児役となるMTを園内研修として実施し、データを収集した。同幼稚園では、2017年度の園内研修で初任教諭を保育者役にMTを実施し、データを取集して分析を済ませている。そこで、2019年度のデータと比較して、園内研修での保育者役のキャリアの相違によるMT効果を検証する予定である。 2019年度、新卒保育者Aの活動内容(風車作成して風を探す活動)を園長級のベテラン保育者(E)、中堅保育者(C)に実施した。活動内容ばかりでなく幼児役学生(5人)も同一にして、条件を統制しており、キャリアの違いによるMTの効果を検証する予定である。その他製作などの静的活動、運動遊びなどの動的活動など、活動内容の相違によるMTの効果についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度、新卒保育者Aの活動内容(風車作成して風を探す活動)を園長級のベテラン保育者(E)、中堅保育者(C)に実施した。さらに、保育スタイルの異なる保育者(D)のMT実施を2月28日に予定していたが、コロナウィルス感染防止対策のために延期となり、その分の人件費が残額となった。2020年度の人件費として使用する予定である。
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