研究課題/領域番号 |
19K02982
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研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
河野 義広 東京情報大学, 総合情報学部, 助教 (70599456)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学修支援システム / 学修データ収集システム / 子どもの発達段階 / プログラミング教育 / 地域活動 / 学修成果物共有基盤 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実績は、1) 学修データ収集システムの改修、2) 学修データに基づくフィードバックシステムの試作、3) プログラミング教室における学修データ分析、4) 学修成果物共有基盤の基本設計の4点である。 1) 2)について、2019年度末に学修時のアンケート項目を精査し、目標設定を問う設問を追加したことにより、DBやAPI、アンケートシステムの改修を行った。2020年度はコロナ禍の影響により、人々が密集する地域活動の実施は困難であったことから、2019年度まで実施した「こどものまち」は開催見送りとし、オンラインとオフライン合同の地域交流イベント「ウォークアドベンチャー」を企画・実施した。本イベントでは、現地参加組がウォークラリーの要領で地域のスポットを巡りながらオンライン参加組と協力して課題クリアまでの時間を競うことから、アンケート回答に要する時間短縮のため調査項目を必要最小限に限定した。本イベントで収集した学修データに基づく集計結果や単純なクラスタリングによるフィードバックシステムを試作した。 3)について、プログラミング教室における各コース(毎週、隔週、毎月)での継続的な学修の振り返り内容を分析し、学修頻度が振り返りの深さや学びの質に与える影響を調査した。主体的な学修モデルの提案とシステム開発について2020年8月開催の国際会議Network-Based Information Systems (NBiS-2020)で発表し、詳細な分析結果をInternational Journal of Mobile Computing and Multimedia Communications (IJMCMC)に論文投稿した。 4)について、研究協力者とともに学修成果物共有基盤のシステム要件や開発方法を検討し、クラウド開発環境の調査、プロトタイプ開発のための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目の2020年度は、学修データ収集システムを用いたデータ収集を予定していたが、コロナ禍の影響で地域活動が制限されたため、多様な学修データを収集するには至らなかった。一方、プログラミング教室では、オンラインでの教室開講も含め、継続的なデータ収集ができたことから、プログラミング教室における学修データの分析を優先的に進めた。また、学修データに基づく学修課題推薦システムの開発については、収集データの前処理とクラスタリングの一部に手作業が必要な箇所があったこと、分析結果の提示方法の検討が必要であったことから、学修データの分析とフィードバックの自動化には至らなかった。また、学修成果物共有基盤の基本設計については、研究協力者に技術的な相談を依頼し、Amazon Web Services (AWS)を用いたクラウド開発について検討を進めた。 以上を踏まえ、学修データの収集が十分に実現できなかったこと、学習課題推薦システムが運用できる完成度ではないことから、本研究の進捗はやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、1) 学修課題推薦システムの開発と運用、2) プログラミング教室、地域活動における学修とフィードバックに対する教育効果の測定、3) 学修成果物共有基盤の開発、以上の3点で研究を進める。 1) 2)について、2020年度までに収集した学修データに基づき、学修課題推薦システムを開発する。本システムでは、学修活動時の振り返りを促進するため、アンケート回答の集計結果および回答結果のクラスタリングによる特徴分析を学習者にフィードバックする。本システムを実際の学修活動にて運用し、主体的な学修課題の選択の多寡を評価する。加えて、学修成果物の質に関するルーブリックを策定し、各能力要素における学修到達度も評価する。 3)について、学修成果物共有基盤とは、子ども達の学修活動を通じて創出された成果物をWeb上で共有する仕組みである。具体的には、子ども達が作り上げたゲームやアプリ、地域活動における気付きなどを動画コンテンツとして公開・共有するWebシステムを開発する。2020年度にシステムの基本設計と開発環境の調査を行い、2021年度に研究協力者のエンジニア集団と協働で設計・開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍の影響で学会出張がなく、旅費交通費は発生しなかった。また、クラウド開発環境の準備費用については、学内予算を使用できたため、本研究費の費用は発生しなかった。上記の予算を用いて、2021年度のシステム開発委託費を充実させる。
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