研究課題/領域番号 |
19K02985
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研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
南雲 秀雄 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 教授 (90300087)
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研究分担者 |
武村 泰宏 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (90280065)
大森 康正 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80233279)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / 小学生 / プログラミング的思考 / コーディングシート / 評価ツール |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「人的条件が整っていない場合でも,専門性が高く経験豊かな教授者が実施する人力集約的なプログラミング教育と同等の学習効果をもたらすプログラミング教材の研究開発」である。この目的達成のため,開発したコーディングシートを用いて小学生に対するプログラミング教育を実施し,開発した評価ツールを用いて評価を行う予定であった。しかし,2020年度,2021年度と新型コロナウイルス感染症の影響で研究の進捗に遅れが生じ,補助事業期間を1年間延長することとなった。 その中で,2020年度は,プログラミング的思考評価ツールを使用した結果を基に,教材と評価ツールの難易度の対象学年に合うよう調整を行った。さらに,2021年度からコーディングシートと評価ツールの電子化を行うために,Moodleサーバを構築した。2021年度は,このMoodleサーバの中でコーディングシートと評価ツールの電子化を進めた。その際,評価ツールについては,問題解答方式の多様化を目的に問題のCBT化を行い,さらに児童が同じ難易度の問題を何度でも受験できるように問題バンクの構築を行った。 電子化以外の教材と評価ツールの改善として,従来のアーテックロボの教材に加えて,micro:bitをコントローラーとして回転サーボモーターで駆動するロボットカーの教材を準備し対応するコーディングシートを制作した。評価ツールについては,問題の多様性と難易度の幅を広げるために,アウトカムを提示してそのアウトカムを生成するためのアルゴリズム表現を解答させる問題の開発を行った。 研究結果の公開に関して,毎年2回(一社)日本産業技術教育学会の研究発表会で発表している。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で国際学会での発表は断念したが,2021年度はプログラミング教材と評価ツールの相互改善というテーマで国際学会での発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で,補助事業期間を1年間延長することとなったが,2021年度は,新たな教材の開発,Moodle上の問題バンク構築,新しい形式の評価問題作成,国際学会での発表で研究を進展させた。 本研究では2020年度までプログラミング教材としてアーテックロボのセットを使用して来た。これは,プラスチックブロックを組み立ててDCモーターで駆動するロボットカーやなどにするタイプのプログラミング教材である。2021年度は,ロボットカー組み立てかける時間が取れないことと回転サーボモーターを使用したロボットカーの方がプログラミングが容易であることを考慮して,micro:bitとmicro:bitをコントローラーとするロボットカーを購入し,これらに対応するコーディングシートを制作した。 2020年度の終わりに準備したMoodleサーバ上には,評価ツールの問題バンクを構築した。評価ツールにおいては,事前・事後テストを実施する際や,何度も問題に解答したい場合は,記憶に頼って解答できないように,難易度が同じで異なる問題を提示する必要がある。このため難易度が同じ問題をグループ化しその中からランダムに出題できる問題バンクは重要である。 プログラミング的思考評価ツールについて,これまでアルゴリズム表現を提示してそのアウトカムを解答させる問題を開発してきたが,問題の多様性と難易度の幅を広げるために,アウトカムを提示してそれを生成するためのアルゴリズム表現を解答させる問題の開発を行った。 2021年10月に開催されたIEEE Frontiers in Educationコンファレンスではオンラインによる発表が認められたため,プログラミング学習教材とプログラミング的思考評価ツールの相互改善をテーマとした発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の核心となる学術的な「問い」は「いかにしたら,農村部の小学校でのプログラミング教育で,専門性が高く経験豊かな教授者が実施する人力集約的なプログラミング教育と同等な学習効果を上げることができるか」というものであった。このため,本研究課題の最終年度となる2022年度は,構築したMoodleサーバにあるこれまでに開発してきた教材を使用して農村部の小学生に対する協働型のプログラミング教育を行い,やはりMoodleサーバ上にある開発してきたプログラミング的思考評価ツールを用いてその学習効果を検証する。 上記の農村部の小学生に対するプログラミング教育を行うために,プログラミング環境となる情報端末及び,必要数に足りない分のmicro:bitとスイッチエデュケーションのロボットカーを購入する。また,音声合成ソフトを購入して,より完成度の高い動画版のコーディングシートを制作し,このプログラミング教育のために使用する。 研究成果の公開について,論文投稿は(一社)日本産業技術教育学会の論文誌で行う予定である。開発したコーディングシートについては,動きのないものは画像またはPDFファイルとして公開し,動画となっているものは動画ファイルとして公開する。開発したプログラミング的思考評価ツールに関しても,静的なものは画像またはPDFファイルとして公開し,インタラクティブなものはMoodle XML等の形式で公開する。これらの成果ファイルの公開及び研究内容・成果の紹介をするためのウェブページを制作する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,新型コロナウイルス感染症の影響で旅費が発生しなったこと,及び小学生に対するプログラミング教育が困難になり,そのための物品購入が遅れていることが挙げられる。旅費に関して,2021年度には国際学会での発表を1件行ったが,オンラインによる発表となったために参加費は支払ったが旅費の支払いが無かった。また,2021年度に参加した国内学会3件がオンライン開催になり,さらに,研究代表者及び2人の研究分担者で定期的に集まって行っていた研究ミーティングは全てオンラインでの開催としたため国内旅費の出費も無かった。物品費に関して,micro:bitをコントローラーとするロボットカーは10セット購入したが,予定の30セットまでは購入しなかった。また,未だプログラミング教育参加者が使用するRaspberry piコンピュータセット30セットを購入していない。 次年度使用額は,教材コーディングシート及び評価ツールの電子化のためにMoodleサーバをレンタルする費用,コンテンツ動画制作のための人件費,プログラミング教室を開催するためのRaspberry piコンピュータセット及びmicro:bitをコントローラーとするロボットカーセットを購入するための費用,研究内容と成果の公開のためのウェブページ作成費用として使用する。
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