研究課題/領域番号 |
19K02991
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研究機関 | 大阪公立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
早川 潔 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20325575)
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研究分担者 |
和田 健 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00469587)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | IoT / クラウド / 組込みシステム / 実験教材 / ドローン / AI |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績として,大きく3つ挙げられる.1つ目は,複数のスマートカーを利用した助け合うIoTの実験教材の作成,2つ目は3年間で作成した成果の報告,3つ目は企業での新人教育での活用である. 本年度では,本校3年度のIoT実験実習およびドローンを活用したプログラミング学習教材に追加して,複数のスマートカーを利用した「助け合うIoTの実験教材」を開発した.本研究費で購入したモデルカーにIoT機能を追加し,さらに簡単に相互協力可能なプログラムライブラリを提供した.スマートカーは,センサー,Arduino,およびJetson Nano,およびDCモーター付きのモデルカーで構成される.Arduinoは,センサー値の収集およびDCモーターの制御を行う.Jetson Nanoは,収集されたセンサー値をクラウドにUPしたり,クラウドから送られてくるデータで車の状態制御を行う.「助け合うIoTの実験教材」では,交差点に差し掛かる2つの車の信号機の色をクラウドに送り,お互いの信号機の色で車を止めるか・進めるかを判断させる.これらの通信をクラウドを介して簡単に行うために,通信ライブラリを用意した. これらの研究成果を国際学会the 11th IIAE International Conference on Industrial Application Engineering 2023で発表した.学会発表では,実際の実験風景を動画で流して説明した.聴衆からは,クラウドを経由した時のタイムラグなどの質問があった. 本教材をフードテクノエンジニアリングでの新人教育で活用した.6月に新入社員16人に対して行った.授業内容は,近年のDXやIoT技術について基礎的な事項を説明し,簡単なIoTの基礎実験を行った.受講者の多くは文系の大学・大学院を卒業した人だったが,問題なく実験を遂行できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,IoT・AIを3段階に分けている.その3段階とは,1)見える化,2)制御,3)助け合い動作である.2019年度,見える化を達成し,2020年度 および2021年度はモーターなどの制御実験に取り入れることができ,学生もその実験を活用したIoTシステムを組むことができている.2022年度において,助け合い動作の実験教材を作成させ,国際学会で発表を行った. 社会現場のシステムを取り入れるための共同研究も川金コアテックとの間で行い,現場でのIoT・AIシステムの研究を行っている.また,フードテクノエンジニアリングの新人教育で本プロジェクトの教材を使用できた. また,2021年度からカンボジア王立プノンペン大学との間でIoT実験について協議している.2023年にはカンボジア王立プノンペン大学の教員が本校に来校し,本校のIoT実験を視察してもらう予定である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,本研究課題の第3段階に相当する助け合い動作に相当する実験教材を開発する.さらなる助け合い動作を行うために,通信ライブラリに追加して,AI機能を持たせる.模型自動車の衝突回避システムなどのシンプルな実験システム例を提示し,学生にはPBLを通して,助け合い動作をするIoTシステムを作成してもらう.これらの研究で得た成果を学会やHPで発表する. これらの実験教材を開発するために,引き続き企業・大学との共同研究を行う.助け合い動作の共同研究として,共同研究を行う.また,センサーとのIoT関連技術を実験に活かすため,大阪府立大学との共同研究で人体のバイタル情報を無線で送る技術の研究や医学系大学でのセンサー情報通信の研究を行う. また,関西医科大学の石﨑教授の研究に関連して,リハビリ機器にセンサーを付けるシステムを開発しており,それらの知見も本教材に組み入れる予定である. 企業との共同研究では,川金コアテックに協力いただき,複数センサーを用いた,橋梁の異常判定システムを開発する.これらで得た知見を実験に活かす.また,企業における新人研修の教材として,この教材を活用してもらい,さらなる改善を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き,半導体の供給不足で,購入を予定していた電子部品や実験装置が2022年度中に購入できず,次年度の購入することとなった.
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