研究課題/領域番号 |
19K03001
|
研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
福安 直樹 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (60324993)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | プログラミング教育 / BYOD / プログラミング演習環境 / セルフビルド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,BYODを利用した情報処理教育における演習環境の在り方を考察し,新たな学習環境・指導支援環境を提案することである.PCを活用した授業においては,学習者が使用する演習環境(PC上のアプリケーションなど)の設定が必要であるが,情報センターなどの組織が管理するデスクトップPCを並べた情報系演習室とは異なり,BYODでは学習者自身が環境を設定する必要がある.学習環境の構築は,情報処理教育においては本質ではない場合も多く,BYODを活用するためには学習者自身で容易に準備できるようにすることが重要である.また,COVID-19の影響により,多くの教育機関においてオンライン形式を活用した授業が行われているが,その実施においてBYODの活用は欠かせないものとなり,環境構築を学習者自身で行うことの重要性は増している. 多くの授業においてさまざまなアプリケーションを学習者自身でBYODにインストールさせ活用する工夫が行われているが,アンケート調査によりその状況を明らかにした.アンケート調査の結果,さまざまな授業において複数のアプリケーションのインストールが指示されており,3年次の学生のディスク使用量の中央値は169.5GBであった.これらの学生のBYODのディスク容量は大半が200~250GB程度であり,使用率が90%を超える学生も存在したが,複数の授業で同じようなアプリケーションのインストールを指示している事例も見受けられ,授業で利用する環境をコンパクトにすることや,複数の授業で環境を共有することが必要であると考えられた. この結果も参考に,C言語とJava言語の演習環境を学習者自身で容易かつ選択的に導入可能な仕組みを用意し,複数の授業で継続的に活用した.提案手法にもとづき複数の授業にまたがって開発環境を更新した場合でも演習に影響を及ぼすようなトラブルは確認されなかった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
和歌山大学システム工学部においてBYODを用いてプログラミングを学習している3年生に対して,各自のBYODの利用状況に関するアンケートを行い,70名から回答を得た.さまざまな授業において,複数のアプリケーションのインストールが指示されており,同じようなアプリケーションのインストールを指示している事例も見受けられ,授業で利用する環境をコンパクトにすることや,複数の授業で環境を共有することが必要であると考えられた. この結果も参考に,C言語とJava言語を対象にしたプログラミング演習環境について,学習者自身で容易かつ選択的に導入可能な仕組みを構築し,複数の授業において実際に受講生に配布した.本環境の利用者65名についてアンケートを行った結果,内27名が提案手法にもとづき複数の授業にまたがって開発環境を更新していたが,更新において演習に影響を及ぼすようなトラブルは確認されなかった. 一方で,依然としてCOVID-19の影響により,研究協力者の確保が容易ではなく,雇用ができておらず,当初予定していた検証などが実施できていない.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き,実際の演習授業の中で本環境を活用するとともに,BYODを活用して受講者の活動状況を把握する仕組みについて検討する.先のアンケートで得られた結果から,演習授業の進行管理において各教員がさまざまな工夫を試みている状況を考慮し,必要なデータの収集方法などを実現することが課題である.また,他の演習環境と比較することや,BYODのOS等の更新に伴う対応についても検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により,引き続き学会等がオンライン開催やハイブリッド開催になっていることで,当初計画していた出張が依然として減少しているためである.また,研究協力者の確保も容易ではなく,雇用ができていない. 一方で,BYOD環境については,年々機器が更新されており新たな環境への対応も必要であるため,それらを想定した新たな機器に基づく動作確認と環境の改善に使用する.
|