研究課題/領域番号 |
19K03003
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
金西 計英 徳島大学, 高等教育研究センター, 教授 (80204577)
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研究分担者 |
吉冨 賢太郎 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10305609)
喜多 敏博 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (20284739)
戸川 聡 四国大学, 情報処理教育センター, 教授 (20399166)
高橋 暁子 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20648969)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 適応的学習 / EdTech / ビッグデータ / IRT / CBT / 高等教育 / Q-matrix |
研究実績の概要 |
本研究は、教育の高度化をEdTechと呼ばれる情報システムの実現、中でも適応的学習システムの構築を目指す。高等教育の初年次教育の中には、基礎的な知識の伝達が求められる分野が存在する。知識伝達の典型的な学習形態として、演習ベースの反復練習に基づくものがある。ただし、反復練習として演習を闇雲におこなうのでは学習者の負担が大きくなり、学習者の意欲を削ぐことになる。そこで、最近のデータサイエンスの研究を応用することで、演習の流れを制御することが可能であると考える。演習をひたすら繰り返すのではなく、学習者の理解状態の診断と、診断に基づく誘導によって演習をおこなうことを目指す。システムによる学習者の理解状態の診断と誘導をおこなう形態を、適応的学習と考え、適応的学習システムの開発を目指す。適応的な学習の制御にIRTの利用を想定しており、本研究では、IRTの検証おこなう。また、解答の履歴の活用方法を明らかにすることも目指す。 令和3年度は、これまでの研究を引き継ぎ、適応的学習システムの開発を進めた。高等教育の基礎的分野(物理、数学、生物、化学、情報処理)を対象に、アイテムバンク(演習問題の集合)の作成に取り組んだ。とくに、数学の基礎と、情報科学の分野の問題の作成をおこなった。また、作成したアイテムバンクを用いた試験環境の開発をおこない、試用をおこなった。試用環境を運用し、解答履歴を収集した。収集した解答履歴を用い解答履歴の活用方法についての検討をおこなった。IRTの検討をおこなった。併せて、IRTの研究事例や、演習問題の構造を記述する方法についての調査をおこなった。また、解答履歴に対し、Q-matrixの有効性についての検証もおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、COVID-19の感染拡大の影響で研究計画に遅れが出ていることから、研究計画を一部見直し、適応的学習システムの開発を進めた。高等教育の基礎的分野(物理、数学、生物、化学、情報処理)を対象に、アイテムバンク(演習問題の集合)の作成に取り組んだ。とくに、数学の基礎と、情報科学の分野の問題の作成をおこなった。また、作成したアイテムバンクを用いた試験環境の開発をおこない、試験環境の試用をおこなった。試用環境を運用し、解答履歴を収集した。収集した解答履歴を用い解答履歴の活用方法についての検討をおこなった。IRTの検討をおこなった。併せて、IRTの研究事例や、演習問題の構造を記述する方法についての調査をおこなった。また、解答履歴に対し、Q-matrixの有効性についての検証もおこなった。 COVID-19の感染拡大は、経済活動のみならず、文化的な側面においても、地球規模で大きな影響を与えた。研究活動全般においても同様であり、本研究も遅滞を免れうるものではなかった。とくに、本研究は授業実践との連携を想定しているため、大学における授業の実施における混乱によって、研究の実施に支障が出ている。令和4年度において、困難な状況ではあるものの限定的に研究を進めている。パンデミックの状況下において、研究打ち合わせ等は対面の開催が困難であるが、オンラインを活用し開催をおこなった。また、演習問題の作成や、試用システムを用いた実験は、部分的な実施をおこなった。本研究を1年程度延長し、令和4年度において研究を続けることを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、COVID-19感染拡大の影響を受け、研究期間を1年間程度延長し、令和4年度も本研究を続ける予定である。令和4年度は、引き続きCOVID-19感染拡大の状況に配慮し、研究計画を検討した上で、研究を遂行する予定である。COVID-19感染症対策の影響により、研究課題の内容に変更が生じる場合は、その都度共同研究者との調整の上、研究計画やその実施について適宜見直すこととする。 令和4年度は、これまでの研究は、当初の計画から遅延が生じていることから、遅延を踏まえて令和4年度で研究をおこなうこととする。本研究は適応的な学習環境の構築を目指している。これまで、基礎的な部分の研究に着手した。これまで、試作した環境の利用し、解答履歴等の収集をおこなった。令和4年度は、収集した解答履歴を利用し、IRT、Q-Matrixの活用方法の検討を進める。学習者の理解状況を把握するためにIRTとQ-Matrixをどのように活用するか、デザインと検証を進める予定である。また、実際の適応的な学習の具体的方法についての検討も進める。研究に関する打ち合わせや調査を、これまで実施が不可能だった点を踏まえて、国内外に対し実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大に伴い、研究の実施に大きな影響をうけた。特に、海外や国内においての調査や成果の報告を予定していたが、令和2年度よりほとんどの出張が不可能になり、令和3年度も同様の状況が続いている。令和4年は、COVID-19の対応に関する政策等の変化が予測されることから、状況を鑑みながら、調査等を再開する予定であり、次年度研究費はその費用にあてる予定である。
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