研究課題/領域番号 |
19K03007
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
小川 仁士 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (60259926)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 情報技術基礎教育 / CSアンプラグド / 教材開発 |
研究実績の概要 |
令和3(2021)年度は,当初設定した4つの学習テーマのうち残っていた2つのテーマ「アドレス指定方式」と「関数呼び出し」を作成する予定であったが,近年重要度が増している「情報システムの認証技術」について学習することができるCSアンプラグド教材を優先して新たに考案し作成した。 本学習テーマにおいては,情報システムにおいてセキュリティを高めるために用いられている,多要素認証ならびに多段階認証のしくみを体験的に学習できる内容となっている。多要素認証の技術的な要点としては,利用者IDやパスワードなどを用いる「知識による認証」,パソコンやスマートフォン,ICカードなど利用者の「所有品による認証」,利用者本人の持つ「生体情報による認証」が,それぞれどの程度,セキュリティを高めることに寄与しているのか,また,それらを組み合わせることで情報システムの堅牢さがどの程度増すのかを理解することが重要である。 この仕組みは学習者が実生活において利用することとなる様々な情報システムを,より安全に活用するにあたり,最も重要な情報セキュリティ意識の向上に役立つ点が有益であると考えられる。 本研究では,ゲームの参加者を利用者,管理者,攻撃者に役割を分け,管理者が利用者の中に紛れ込んだ攻撃者を特定するという内容のカードゲームを考案した。また,知識による認証から生体認証までのルール変更を,ゲームの進め方の中に段階的に取り入れていくことで,それぞれの技術的な効果や問題点について体験的に学習することを可能にした。 作成したCSアンプラグド教材を用いた授業も設計したが,新型コロナウイルス感染症の影響で十分な検証ができていない。また,学会等での発表やインターネット上での情報発信も未達成なので,次年度はこの教材を用いて実験授業を行い,学習効果を確認していくとともに,これまでの研究成果を情報発信していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染症拡大に起因して通常業務が煩忙を極め,当初想定していたエフォートのおよそ20~30%しか注ぎ込むことができなかった。そのほとんどが,教材考案と作成に費やすことになったが,良い教材が完成したものの,研究成果を学外へ公表することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
依然としてCOVID-19感染症拡大の懸念が拭い去れない状態が続いているが,ワクチン接種が広まったことや治療薬の開発・普及についてもその兆しが見えてきたことから,次年度以降は成果発表を対面公式の場で行うことが可能になる見込みである。 このような状況から公式の場で積極的に発表することを計画したい。 また,残りの教材も逐次完成させていきたいが,新しい生活様式になじむような工夫も施 す必要があるようにも感じている。実験授業についても,授業設計の段階からそのような考え方を導入していこうと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染症拡大のため,当初想定していたエフォートのおよそ20~30%しか注ぎ込むことができない中でも,新たな教材考案と作成は継続することができたが,学会発表のための旅費等を使用しなかったため次年度使用額が生じた。 次年度は研究期間延長承認後の最終年度ということもあるので,助成金を有効に活用し,これまでの研究成果を学会発表や論文投稿,Webサイトでの公開を通して学外へ公表する計画である。
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