本研究の目的は、学部初年次の情報基礎教育において、情報技術の基礎的知識を容易に理解できるように、CS(Computer Science)アンプラグドの考え方を活かした新たな教材を開発し、授業の中で活用・蓄積して、その有効性を評価することにある。 本研究では、平成23年度から平成26年度にかけて、すでに「コンピュータウイルスの波及と防御」、「オペレーティングシステムの記憶管理」、「オペレーティングシステムのタスク管理」、「LANのメディアアクセス制御方式」について学習するCSアンプラグド教材を開発し、実験授業および高大連携公開講座などで効果を確認している。また、これらの教材を公開するサーバも立ち上げている。さらに、情報処理学会全国大会の場で学会発表も行って来た。 今回、令和元年度から令和5年度にかけて、新たに「公開鍵暗号方式」、「CPUの割り込み処理」、「情報システムの認証技術」について学習するCSアンプラグド教材を開発した。特に、「公開鍵暗号方式」を学習するCSアンプラグド教材を開発するにあたっては、情報秘匿と電子署名が同時に学ぶことができる鍵模型を考案し、3Dプリンターを使い試作した。教材の開発および授業設計はほぼ計画通りに進めることができたが、研究実施期間中に新型コロナウイルス感染症が流行したことにより、実験授業による有効性の検証については結果的に断念せざるを得なかった。また、公開用サーバのリプレース・性能強化を行い、教材コンテンツを整備・充実することも行った。
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