本研究の申請時の目的は、アクティブラーニングの学習者が学びのプロセスをソーシャルネットワークサービス(SNS)に発信し、それに対するインターネット上の反応を“評点”とした新しい学習評価手法に挑戦するという試みであったが、ブロックチェーンを用いたトークン実装についての情勢的な難しさなどから、当該目的の前半部分 「学習者グループでの発信状況の可視化と共有」に焦点を絞って研究を進めた。この目的に対して、同じグループに属する学習者(同じ授業の受講生・同じゼミの学生など)が、学習した内容をSNS(Twitter/X)に発信して学びを深めるアウトプット学習において、その発信状況(発信数・いいね数・拡散数・返信数など)をウェブページにランキング形式にまとめて表示するシステムを構築した。
研究期間全体の通じて、2020年にベースとなるシステムを完成させて2021年1月から2ヶ月間の実験を実施し(日本教育工学会2021年秋季全国大会にて報告)、その結果を受けて、スマートフォン用レイアウトへの変更と発信数などの指標で並び替えができるよう機能追加して2021年10月から3ヶ月の実験を実施(日本教育工学会2022年5月研究会と同会2022年10月研究会で報告)、さらにその結果を受けて、自分の日々の発信状況をグラフ表示することで(他人と比較するだけでなく)過去の自分との比較ができるように改良したシステムを用いて2022年10月から2ヶ月の実験を実施した(日本教育工学会2023年春季全国大会にて報告)。最終年度はこれら3回の実験の結果をまとめて論文誌に投稿した(2024年5月現在、2回目の査読中)。以上の研究を通じて、同じグループに属する学習者のあいだで発信状況を比較・共有することによって、SNSを用いたアウトプット学習のモチベーションに繋がる可能性を見出すことができた。
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