研究実績の概要 |
本年度は、聴覚刺激を用いて脳波実験を行うための検証として、5つのピアノ音の系列を本年度は、聴覚刺激を用いて脳波実験を行うための検証として、5つのピアノ音の系列を聴覚と視覚で提示しMIDIキーボードを用いて演奏を行う課題を3日間繰り返すという予備実験を行った。実験の結果、多重比較補正を考えると統計的に有意ではないものの、3日間の練習で脳波に変化が認められた。なお、F3, F4電極においては聴覚刺激に対応したERP波形も認められた。実験で取得した脳波データを用いて、機械学習によりピアノ音を聞いている時とキーボードで演奏している時を分類したところ、80%の正解率が得られた。次に、F3, F4電極のデータのみを入力に用いて検討を行った結果、正解率はかなり低下することが確認され、加算平均により聴覚刺激に対応したERP波形を示した電極の情報が、必ずしも1試行ごとの状態判別に有用であるとは限らないことが示唆された。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、簡単な英単語と難しい英単語に対する脳反応がシータ帯域やベータ帯域で異なること、約10日間の英単語提示により、難しい英単語のうち実験参加者が記憶した英単語に対する脳反応が、簡単な英単語に対する脳反応に近づいていくことが明らかとなった。学習者の学習前の英語力が、学習の成果(新たに記憶した単語の数や脳波の変化)と関係する可能性も示唆された。また、ピアノ演奏学習を模した予備実験により、今後、英単語の聴覚提示による学習について検討する目途が立った。 機械学習を用いた習熟度推定手法の開発については、新型コロナウイルスのため大量の脳波データを収集することができず、本格的に研究を行うことができなかった。予備的な結果としては、約70~80%程度の判別精度が得られた。
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