研究課題/領域番号 |
19K03032
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
丸山 智子 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (40828034)
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研究分担者 |
井上 雅裕 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 特任教授 (50407227)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リーダーシップ教育 / リフレクション / e-ポートフォリオ / シミュレーション体験 |
研究実績の概要 |
自律的な学修者育成を目指した「振り返り」方略の探求を目指し、高等教育におけるリフレクション理論を概観した。高等教育における個人の開発計画(Personal Development Planning)と、学生の成長を促す学習ツールとしてのリフレクションとの連携の重要性を確認した。リフレクション活動をカリキュラムに導入する際には、学習の意図に沿うリフレクションの深さを考慮する必要があり、自分の特性やアプローチを見直す場合には、行動の変容が期待できるより深いレベルのリフレクションが必要であることを確認した。加えて、リーダーシップ開発におけるリフレクションに関する研究を概観し、肯定的なリーダーシップ行動の変容につながるリフレクションに関する実証研究の方向性を考察した。 また、eポートフォリオを活用した、リーダーシップ行動の継続的なリフレクションによってもたらされる、学生のリーダーシップ行動の変化について調査したアンケートを分析し、考察を行った。 さらに、オンラインで実施したリーダーシップ授業での学生のリフレクション結果を分析し、考察を行った。オンライン授業では、学生と教員による双方向の能動的リーダーシップ授業を実現した。学生はリーダーシップトレーニング用シミュレータで繰り返し自習すると同時に、コロナ禍での研究室での実際の活動に授業での疑似体験を反映させリーダーシップを発揮した。学生はその結果をeポートフォリオに記入した。学生が個々に自宅で実施するシミュレーションの状況を教員が閲覧し把握することで、個々の学生への指導を可能とした。学生間のピアレクションをオンラインで実施し、コロナ禍で直接会うことができない学生間の協働学修を促進した。今回のオンライン授業で設計したオンラインでの学生支援の方式とピアリフレクションの方法は、リーダーシップ授業に限定することなく双方向の能動的な授業に活用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面での教育が実施できず、すべての授業がオンラインとなった。教育実践の検証もオンラインで実施した。このような状況下で増々注目が高まっているバーチャルチームのチーム形成や、チームリフレクションの検証結果から、新たな知見が得られた。 国内外での論文発表もオンラインを活用して実施した。 一方で、2021年度に計画していたインタビュー結果の分析が未着手であることと、国際会議への現地参加ができず、海外の研究者との対面交流の機会が得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、授業も徐々に対面が増えてきたものの、まだ新コロナウイルス感染状況によって授業形態に制約を受けると想定される。対面授業において検証できる場合を想定しつつ、完全オンラインやハイブリットでの授業におけるリフレクションの検証ができるように準備を進める。また、リーダーシップ行動のポジティブな変容が顕著な学生に対して実施した、半構造化面接により得られた質的データ分析によって、ポジティブな行動変容促す思考、態度、行動の共通要素を抽出する。 これまでに実施してきた、リフレクションに関する文献調査、対面及びオンラインでのリーダーシップ教育での量的・質的データ分析と考察の結果をもとに、本研究の目標である「学生のリーダーシップ行動にポジティブな行動変化をもたらすリフレクションのモデル構築」を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者代表、および分担者が研究成果発表のため計画していた国際会議の現地出席ができず、次年度使用額が生じた。2022年度使用計画としては、国内外での研究打ち合わせや学会発表の旅費とする。
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