研究課題/領域番号 |
19K03033
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中村 隆敏 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (70509786)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MR,SR / VR,xR / 教材開発 / 遺産・遺跡 |
研究実績の概要 |
MRによる現実空間と仮想空間の融合教材コンテンツ開発研究の2年目として、屋外向けモバイル型の教材コンテンツの実装を可能にする技術的かつ開発企画デザインの知見を継続して調査し情報を収集した。さらにデバイスの選択と環境構築、サンプルモデルの開発を昨年から引き続き継続した。 2年目の展開として大学と地域の関連企業で新たな表現方法や社会への適用化を目的に共同研究を進めることとした。参画する企業は「次世代コンテンツ開発共同企業体」であり,大学施設内に研究開発室を備えている。地元企業や行政がVRやMR,今後開発される新しい技術を活用したクリエイティブなコンテンツを開発できる体制を整えるために,ファクトリーとして設置した。ファクトリーの対外的にも分かりやすいネーミングとして「redeco(research development co-creation)」とした。 研究開発成果としてサンプルモデルを企業展示会等で発表し好評を得た。また、開発については屋内専用モーションキャプチャスタジオにおいて、モーションキャプチャと連動させたセンシングと3DCG表示の融合度合いの検証も行なった。 本研究の最終目標は、屋内展示環境において学習者の自由度を狭める完全な視覚没入型VRではなく、屋外展示において移動しながら実際の実写映像とCGを合成し、現実世界に仮想世界をマッピングするモバイル型MR教材の開発である。 現実の世界と仮想の映像を融合させて,本来実在しない人物や事象,事物が実時間及び実空間に存在し,現実時間・空間と過去空間あるいは虚構の空間の間を往還しながら,現実世界が代替されていく中で豊かに学べる環境構築を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮想現実関連技術はゲームや映画、遊戯施設のアトラクション等の屋内娯楽分野への応用が著しい。その技術的な部分は屋内活用でも同等である。 新型コロナ禍の中、国内や海外のVRやCG関連の学会については参加できたが、研究施設、開発プロダクションを視察することはできなかった。その分、大学と地元企業が共同でコンテンツを研究開発できる拠点づくりとXRコンテンツの開発を目指した。 仮想現実教材開発の知見を生かし、学内のバーチャルスタジオや仮想空間情報開発機器を用いながらVR,MRコンテンツのサンプルを作成した。 視聴対象資料の現実映像とCGの仮想映像が違和感なく融合するにはHMDの位置情報を明示するセンシングとワイヤレスネットワーク環境が重要である。新型コロナ禍の中、大学外での研究時間が取りづらく、3Dクラウドデータを用いたネットワークと接続し、鑑賞者が保持するHMDのセンシングの最適化の手法と実装については課題として残っている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、MRコンテンツのサンプルを屋外展示環境において実装する段階であり、センシングやワイヤレス環境の整備実験等、屋外情報空間の整備とデバイスの設定、屋外使用の実験フィールドをポイントを絞り整備することを行う。 新型コロナ禍の状況次第では、ワイヤレス環境構築がなくともHMDのローカルデータでMRコンテンツ視聴の環境を構築する。これまでの体験会や評価発表会で屋内の使用実績はあるためその知見を利用する。 また、屋外で使用する際の視聴については、歩きながら展示資料を見て回ることを想定し、視聴環境の危険度やふらつき、酔いやすさ等の検証も行っていく。屋内環境においても擬似的な屋外環境を整備することは可能であり、柔軟なMRコンテンツ体感と形成的評価に繋がる研究を進めていきたい。
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