目的:本研究では,(1)学生の生活習慣の改善や運動促進を行うためのデジタルコンテンツを作成すること,(2)運動を促進する「思わず歩きたくなる大学づくり」のシステム開発を目的とした. 実績内容:研究期間を通して,(1)学生の生活習慣については,600名を対象とした33項目の形態計測や体力測定と同対象者の定期的な運動習慣の有無,就寝時間,食事等の生活活動アンケートを行い,学生の行動や体力と成績との関連性について検討し,就寝時間,生活リズム,ストレスといった項目と学業成績との関連性があることを明らかにした.(2)運動を促進する「思わず歩きたくなる大学づくり」のシステム開発では,学習者の日常生活のモニタリング方法の検討として,エレベータの乗降か,階段の登り降りかを判別するアルゴニズムを開発し,Android端末に実装し,評価を行った.また,複数のサイネージと連携するために,サイネージとサーバー間での通信量や処理分散に関する検討や,個人情報を極力保存せずに個人の識別精度を向上させるための検証を行った.運動促進コンテンツを作成し,アバタの振る舞いがユーザーの気持ちに寄り添い,運動を促すのかについて,顔表情を6種類に判別して評価を行ったほか,歩様を用いて,年齢を推定することで,歩きたくなる気持ちを後押しするコンテンツを開発した. 最終年度の2023年度は,サイネージのコンテンツやシステムの技術要素の開発が一区切りついたため,デジタルサイネージで,どうすれば記憶に残りやすい情報提示ができるかを検討した.具体的には,記憶の残りやすさと視線滞留時間との関係を検討し,記憶に適した文字の位置,色,大きさを明らかにした.白背景の場合,認識しにくい橙色は避け,文字の大きさは,22pt以上,中央及び左上に重要なコンテンツを表示することが,記憶に残りやすいサイネージコンテンツとなることが示された.
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