研究課題/領域番号 |
19K03045
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
須田 義昭 石川工業高等専門学校, その他部局等, 校長 (20124141)
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研究分担者 |
川崎 仁晴 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (10253494)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地表面電位変化 / 地震 / 地殻変動 / 大気電界変化 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、地表面電位計測装置を昨年度に続き複数台作製した。富山高専(富山県・射水市)に新たに設置し、同装置を用いて大気中のイオンに起因する大気電界や空地電流を石川高専(石川県・津幡町)、佐世保高専(長崎県・佐世保市)と崇城大学(熊本県・熊本市)の観測点とともに同時継続的にモニターし、波形について電圧値の増減やピークの時系列などを比較した。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大等の影響で沖縄高専(沖縄県・名護市)、有明高専(福岡県・大牟田市)、大分高専(大分県・大分市)、群馬高専(群馬県・高崎市)、鶴岡高専(山形県・鶴岡市)及び釧路高専(北海道・釧路市)には訪問設置ができなかったが、計測装置部品を送付し設置依頼を行った。ほとんどの高専で地表面電位計測装置設置完了し、波形観測を開始した。 (1)絶縁物(テフロン)製の支柱により支えられたステンレス電極および接地電極により構成される地表面電位計測装置を昨年度に続き複数台作製した。ステンレス管は空き缶、絶縁棒はテフロン棒で作成した。測定装置そのものは非常に安価に作製できた。 (2)ステンレス電極に同軸ケーブルを接続し、接地電極との間で発生する電圧をナノボルト電圧計で計測した。 (3)計測したデータを一定時間毎(1分~10分程度)に計測した。計測データをデータロガーに保存するとともに、拠点校(石川高専)及び佐世保高専へ送信した。 計測波形について電圧値の増減やピークの時系列などを比較し、更に気象情報とともに解析した。 (4)計測データと気象データ(地震、雨、雪や落雷等)の関係を解析し、研究成果の一部を電気学会誌に投稿し、掲載された。また、(1)~(3)を他高専に加え協力校等で行えるように地表面電位計測装置の設置依頼を行い、できるだけ多くの観測地点でデータ収集ができるように準備し、波形観測を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、地表面電位計測装置を複数台作製し、石川高専、佐世保高専と崇城大学に加えて全国の複数高専に計測装置を設置し計測を開始できた。石川高専および崇城大学で地震発生時の地表面電位変化を計測できた。また、計測データを気象情報とともに解析を開始できた。しかしながら、全国の協力高専への装置設置はできたものの、新型コロナウイルス感染拡大等の影響で設置完了が予定より遅れた。この点を考え、やや遅れているとした。今後は、設置できた協力校(全国の高専等)においても同時計測および解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)今後、協力校(全国の高専等)に設置した地表面電位計測装置により計測したデータを収集し、日本を網羅する電位変化分布データを作製するとともにそれを表示(可視化)し、高専全体で電位変化を観測する予定である。 (2)これらの結果に、地震のメカニズムや被害等に関する情報を加えた新しい工学教育システムを構築する。これを各校のカリキュラムや出前授業に加え、地震に関する工学的教育に利用する。また、可能であれば新しい災害予知システムとして利用できないか評価・検証する。 (3)同様な装置を、各高専で協定を結んでいる海外の大学等に連絡を取り、装置の設置と教育システムの導入を依頼するとともに、協力をいただく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大による影響等で、全国の高専等への地表面電位計測装置の設置のための旅費に残額が生じた。次年度は、協力高専等のデータ収集や研究打合せ旅費等に使用予定である。さらに学会発表旅費や学会誌投稿費等に使用予定である。
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