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2020 年度 実施状況報告書

深層ニューラルネットワーク内部動作可視化システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K03046
研究機関石川工業高等専門学校

研究代表者

金寺 登  石川工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (50194931)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード深層ニューラルネットワーク / 可視化 / 音声認識 / 画像認識
研究実績の概要

深層ニューラルネットワーク(DNN)を用いることにより,音声認識や画像認識などで高い認識性能を実現できるようになってきた。また災害予測など様々な分野での応用が急速に進んでいる。しかし,ネットワーク内部で何を根拠に判別しているかが不明であるため,判別結果に対する不安が懸念されている。現在DNNの内部がわかる人材は不足しており,今後AIなどで活用されるようになったときに,誤った判断が出される危険性がある。これを防ぐための人材育成は将来のAI社会では不可欠である。そこで,本研究では深層ニューラルネットワーク内部の処理を可視化するシステムを開発し,DNNを正しく理解し活用できる人材を育成することを目的とする。社会でのDNN利用例が急増する中で,DNN内部で何が行われているかを正しく理解するためのシステムを開発・公開することは,技術者はもちろん利用する国民にとっても極めて重要である。
本研究では,ネットワーク出力を入力で偏微分した値の変動を指標とすることによって,識別の根拠となる重要な入力を特定する方法を開発した。この指標が大規模なニューラルネットワークにも有効であることを確認した。また,音声認識深層ニューラルネットワークに本研究の方法を適用し,各音韻の識別にとって重要と自動判断された知識と音響学の知識を比較し,本研究の方法の妥当性が明らかになった。
本研究で提案する指標は,ネットワーク内の重要なユニットを抽出できるだけでなく,提案指標の値が大きいユニットは残し,逆に小さいユニットを削除しても識別性能が低下しないことが期待される。そこで,音声認識深層ニューラルネットワークに適用し計算量削減効果を確認した。さらに,画像認識ニューラルネットワークにも本方法を適用し,計算量削減効果を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

深層ニューラルネットワーク(DNN)内部の処理を可視化するシステムを開発しDNNを正しく理解し活用できる人材を育成するという目的を達成するため,以下の課題を明らかにした。
課題① ニューラルネットワークに与える各入力が出力にどの程度影響を与えるかを定量的に明らかにした。深層ニューラルネットワーク内部の処理を可視化する方法の一つとして,ニューラルネットワーク出力を入力で偏微分した値の標準偏差が大きいときに,対応する入力が重要であると判定する方法を提案した。
計算サーバを導入し,この指標が大規模なニューラルネットワークにも有効であることを確認した。特に層数,ユニット数,非線形関数の影響や重要な隠れユニットの抽出方法等を調査した 。
課題② 音声認識深層ニューラルネットワークに本研究の方法を適用し,各音韻の識別にとって重要と自動判断された知識と音響学の知識を比較し,本研究の方法の妥当性を明らかにした。大規模な音声認識深層ニューラルネットワークに適用した結果,/s/と/sh/の違いなどこれまでの音響学の知見と一致する結果が得られ,提案方法の妥当性が明らかになった。また入力に与える時間幅(フレーム数)や入力特徴量の影響についても調査した。
これまで,入力層における重要なユニットを定量的に明らかにしたが,中間層における重要なユニットについても本研究の方法で定量的に明らかになった。また,重要でないユニットを削減することによってどの程度の計算量低減効果が得られることを確認した。
課題③ 画像認識ニューラルネットワークにも本方法を適用した。その結果,ネットワーク内の重要でないユニットを削減することで,認識性能を低下させずに計算量を低減できることを確認した。これにより,画像認識ニューラルネットワークについても本研究の方法の妥当性を示すことができた。

今後の研究の推進方策

本研究により,ニューラルネットワークに与える各入力が出力にどの程度影響を与えるかを定量的に明らかになった。また,ネットワーク内部のユニット間の影響を定量的に示すことができるようになった。音声認識深層ニューラルネットワークや画像認識ニューラルネットワークに本研究の方法を適用し,本研究の有効性を確認した。
今後は,様々なタイプの深層ニューラルネットワークの内部処理を可視化できるシステムを開発し公開することにより,利用者がネットワーク内部で何が行われているかを理解できるようにするとともに,教育効果を検証する。

次年度使用額が生じた理由

残額は,今年度購入できなかった消耗品(トナー)代の一部にあてたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 音声認識音響深層ニューラルネットワークにとって重要な入力の自動抽出2020

    • 著者名/発表者名
      金寺 登
    • 雑誌名

      日本音響学会誌

      巻: 76 ページ: 327~330

    • DOI

      10.20697/jasj.76.6_327

  • [学会発表] 音声認識深層ニューラルネットワークにとって重要なユニットの抽出と計算量削減2021

    • 著者名/発表者名
      金寺 登
    • 学会等名
      日本音響学会2021年春季研究発表会
  • [備考] 石川工業高等専門学校電子情報工学科金寺研究室ホームページ

    • URL

      http://sail.i.ishikawa-nct.ac.jp/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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