研究課題
本研究を通じて,目的としていた実際の人工衛星開発(特にCubeSat開発)の基礎を包括的に学べるCubeSat教材すなわち学習モデル(Learning Model: LM)を開発することが出来た.本学習モデルは,CubeSatに必要な全てのサブシステムすなわちコマンド・データ処理系,電源系,通信系,姿勢制御系,構体系,熱制御系,計装系が盛り込まれた従来にない画期的な学習モデルである.電子部品の大部分は市販品を利用することで,価格は約5万円程度と比較的安価となっている.また,10 cm×10 cm×20 cmの2Uサイズとすることで,利用者が自分たちのミッションを検討,実装する空間も確保することが出来た.加えて,自分たちがそれぞれの希望に応じてサブシステムをカスタマイズすることが出来る状態になっているのも特徴である.本学習モデルは,高等専門学校(高専)で実施された宇宙教育である高専スペースアカデミア,高専スペースキャンプにおけるCubeSat講座並びに競技会形式の動作試験,そしてグループワーク形式のミッションアイディア検討会で活用されたのみならず,大学におけるプレ卒研の題材としても活用され,幅広い教育に展開できる極めて有用な教材であることが示された.実際に本学習モデルを利用した高専生が木星電波観測技術実証衛星「KOSEN-1」の開発に多数関わったことからも本学習モデルの核心となる目的を達成することが出来たと言える.本研究成果は,2021年度宇宙教育シンポジウム,そして工学教育など学会,論文等でも複数件発表し,研究成果を広く社会に発信することが出来た.また,本学習モデルは,今後も発展的に改良され,具体的な教育コンテンツの開発,IoT教育への展開,高校生の宇宙教育への活動などより一層の活用が見込まれる予定である.
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)
Journal of JSEE
巻: 69 ページ: 6_153~6_158
10.4307/jsee.69.6_153