研究課題/領域番号 |
19K03048
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研究機関 | 弓削商船高等専門学校 |
研究代表者 |
二村 彰 弓削商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (90332080)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 計測装置精度確認 / 係船実験 / 係留索本数 / 船体と岸壁との距離 / 実験実習用テキスト作成 |
研究実績の概要 |
本研究の意義は、船員教育分野において、船舶運航技術の習得のみならず,船舶機器の情報処理、衛星通信、陸上からの遠隔サポートなどの知識・技能を新たに備えた新しい海技人材を教育するとともに、船員労働環境分野において、船員を目指す若者や女性が働きやすい労働環境の効率化を図ることである。そのため、本研究は、船内環境の見える化推進と船員技能の早期習得を目的にした「船員技能の早期習得のための係船状態の見える化システムの開発」を実施している。 令和3年度の研究実績は、ロードセルを用いた係留ロープ張力計測実験を実施し、これまでに完成させた係留ロープ張力計測表示装置の精度確認できたことである。さらに、係船実験を実施し、一般的な係船方法に従い、実船を用いて「係留索の本数」と「船体と岸壁との距離」を条件とした9つの実験を実施した。実験の結果、次のことが明らかになった。(1)係留索は船体の前後方向、岸壁と反対側にかかる横方向の合計3方向の力を支えなければならないということ、ゆえに係留索は6本使用し、岸壁から適切な距離を離すことで船体を安定させることができるということを明確にできた。(2)6本の係船方法について、船体前方向をスタンラインおよびフォアスプリングラインの2本で担当し、船体後ろ方向をヘッドラインとアフトスプリングラインの2本で担当し、最後に船体横方向を2本のブレストラインで担当し、船体動揺を抑えていることが改めて確認できた。(3)岸壁との距離を0mとすると、6本の係留索に均等に負荷がかかりづらく、偏った係留索の負荷になる可能性が高い。また、各係留索に高い負荷がかかり続けて、長期間の係船には向いていないことも分かった。(4)商船学科実験実習用のテキスト例を作成することができた。 このことから、係船状態の見える化システムの開発については、ほぼ達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、船内環境の見える化推進と船員技能の早期習得を目的にした「船員技能の早期習得のための係船状態の見える化システムの開発」を実施している。 具体的な到達目標として、(1)船舶係留ロープの張力を測定できる係留ロープ張力測定装置の開発(2)測定した係留ロープ張力測定数値を遠隔表示ができる機能の開発(3)船員を志す学生に開発装置を使用してもらい教材として確認してもらうことを挙げている。すでに令和3年度までに、(1)と(2)の到達目標におおむね達する事ができているが、(3)の到達目標が達成できていない状況である。理由は、(3)に関する実験用テキストの作成に時間を費やしてしまい(3)に関する実験ができなかったためである。また、複数の係留ロープ張力測定装置の通信機能に改善点もある。以上の2つの理由により進捗状況の説明とする。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の計画として、複数の係留ロープ張力測定装置の通信機能の改善作業を実施し、リアルタイムに係留ロープの状況を確認できるようにする予定である。また、実験実習用テキストを作成したので、開発した張力計測装置を用いた係船実験実習を実施し、学生アンケートを実施して、教材としての完成度を高める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた学生実験が実験実習用テキスト作成の遅れにより中止されたためである。次年度はこの実験に使用する実験装置および解析用ソフトウエアを購入する予定である。
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