(1) キャレット操作(マウス操作およびカーソルキーを用いたもの)の量や種類と、プログラミング学習における影響を細かい時間単位で調べるため、各編集操作(ソースコードの内容が書き変わる単一のキー入力およびコピーペースト操作)ごとにコンパイルエラーの有無を含めたデータセットを構築した。これによって、コンパイルエラーが継続して発生している状況では、学習者がプログラムの記述に不慣れであるか、または想定していない状況にあることが推測できる。また、編集操作とキャレット操作の遷移や割合といった活動履歴と、学習者の状況を紐づけて分析することができるようになった。 (2) プログラミング学習活動として、これまで基礎的なプログラミング(C言語、Processing言語)での演習や試験、発表会用の作品作成を対象としてデータを収集してきたが、もうすこし発展的な内容として、オブジェクト指向のパラダイムを取り入れた学習活動についても同様にデータを収集することを考えた。また、オブジェクト指向のパラダイムに初学者が慣れ親しむための方法として、昔話や童話といった物語の一部分をオブジェクト指向でモデリングし、プログラムを記述する方法を提案した。提案学習方式を導入した結果、学習者自らが適切な物語を選択し、オブジェクト指向の考え方に基づいたプログラム記述および解説をすることができた。 (3) 学生の自主性および創造性を喚起するため、アイデアマラソンシステムを取り入れた学習管理システム(LMS)を構築し、初年次教育において運用した。その結果、学習者のアクセス回数と、発想したアイデアの個数、および講義の最終評価点それぞれに、弱い正の相関があることを確認した。
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