研究課題/領域番号 |
19K03064
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
横山 明子 帝京大学, 理工学部, 教授 (70230654)
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研究分担者 |
荒井 正之 帝京大学, 理工学部, 教授 (70212602)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 理工系大学生 / 適職発見の支援 / 職業選択と決定 Webシステムの開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、理工系の大学生の職業選択を支援するために、先行研究(JSPS科研費JP 26350333(研究期間2014年度~2017年度))において開発した「適職発見のためのWebシステム」に新たにガイダンス機能を追加し、新システムを使用する学生が自発的に効率よく最適な職業を選択できることを検証する。そのために、まず、初年度から2年間をめどに次の研究課題に取り組んだ。 初年度には、先行研究で開発したWebシステムについて、学生が独力で職業選択を行う上でどのようなガイダンス機能が必要か、及びユーザイタフェースなどの操作性も含めた要件定義の一部を理論研究から明らかにした。 また、本システムのガイダンス機能を充実させるために、学生が自己理解を深めるツールとして独自の「職業興味検査」を備える必要があることが明らかになった。そこで、この検査開発のための理論研究を行い、ホランドの職業興味理論から予備的な尺度項目を策定し、大学生約200人に調査を実施した。この結果について分析計画があったが、調査時期が大幅に遅れたため調査結果の分析は次年度に持ち越した。 本年度の研究の主な実績は、この調査結果の解析を行い新たな尺度項目を作成したことである。この新たな「職業興味検査」の尺度項目は、現在標準化されている「VPI職業興味検査」を用いて基準関連妥当性を検証することによって選定した。さらに、職業選択の未決定から決定に至る各段階について、先行研究から具体的なガイダンス機能についてもさらに検討を行い、その原案を作成した。なお、この新たな尺度を本システムに実装し、実証実験を行う予定であったが、新型コロナ感染防止の観点から学生の通学が制限されたため、十分な実証実験を行うことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績の概要に記載したように、既に開発した適職発見のためのWebシステムについて、どのようなガイダンス機能が必要か明らかにするため理論研究は順調に進んでいる。 本年度の研究計画が遅れている大きな理由は、昨年度の研究、すなわち学生に行った調査の分析が遅れたこと、さらに本年度予定していた学生を用いた実証実験が一部しか実施できなかったことが主たる理由である。具体的には次のとおりである。 新たなガイダンス機能として、本システムに独自の「職業興味検査」を備える必要があるが、これに関して、初年度の研究のうち、学生を対象とした調査が当初の研究計画では、2019年の8月に実施予定であったが、調査項目の選定などの準備に時間がかかったため、実施時期が2020年1月に遅れたためである。その結果、結果の分析も年度内に終了しなかった。 さらに、本年度は、この新たなシステムを用いて学生を被験者として実証実験を行い有効性を検証する予定であったが、新型コロナ感染防止の観点から学生の通学が制限されたことから、一部の学生にしか実証実験を行うことができず、このシステムの検証が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究では、初年度に取り組む予定であった独自に開発した「職業興味検査」について、学生に対する調査結果の分析を行い、新たな調査項目を備えた検査を開発した。そして、これを用いて大学生に実証実験を行いながら、実装することを目指したが、新型コロナ感染防止の観点から学生の通学が制限されたため、ごく一部の学生に対しての実験しか行えなかった。そのため、来年度、この本格的な実証実験を行う予定である。そのために、タブレット数台などの必要な機材の購入を予定している。 また、ガイダンス機能についての検討を先行研究から行ってきたが、それをシステムに実装し、学生の実証実験を通して、さらに充実したものにするための検討を行い本格的なガイダンス機能の実装を行う予定である。 この研究と並行して、本システムのユーザインタフェースなどの操作性について検討し、システムをより使いやすいように改良を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に、本研究で開発に取り組んでいるシステムに必要な新たな「職業興味検査」を開発し、タブレットを数台を購入して学生を対象として実証実験を行う研究計画を立案した。この研究計画のうち調査までは実施したが、調査結果の分析が年度内に終了せず、その分析を次年度に持ち越すことにした。 さらに、本年度は、初年度に遅延した調査結果の分析から着手し、その機能を本システムに実装し、本格的にシステムの有効性を検討をする予定であった。しかしながら、新型コロナ感染防止の観点から学生を集めての実証実験が一部しか実施できないことが判明したため、この実証実験に使用するタブレットなどの購入を次年度に持ち越すことにした。 来年度は、この新たに開発した「職業興味検査」とガイダンス機能を実装したシステムを用いて学生を対象として実証実験を行い、本格的にシステムの有効性の検討を行う予定である。そのためにタブレット数台などの必要な機材の購入を予定している。 さらに、この実証実験を通して、この職業興味検査だけではなく、ガイダンス機能についてもさらに充実したものにするための検討を行い、より最適なガイダンス機能の実装と改良も行う予定である。そのための研究協力者の人件費も計上する予定である。
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