2023年度は、2022年度に行った精神障害領域臨床実習自己効力感尺度の信頼性および妥当性の検討についてまとめる作業を行った。その結果、Cronbach のα 係数および精神障害領域臨床実習と社会的スキルの相関係数から内的整合性、基準関連妥当性が担保された精神障害領域臨床実習自己効力感尺度が作成できたと考えられた。 また、精神障害領域臨床実習における困難解決群と困難未解決群では、困難な出来事に対しての認知・動機づけ・情緒・選択過程に異なるパターンが生じていたことが明らかとなった。そのため、実習期間で効率よく精神障害領域臨床実習自己効力感を高めるためには、実習が始まる前までに、困難解決群と困難未解決群で認知・動機づけ・情緒・選択過程において異なるパターンが生じていた「対象者に対する関心や理解、基本的な関わり」、「対象者に拒否された時の対応」、「対象者への治療的介入」、「対象者と関わる際の態度」、「指導者に対する捉え方」、「指導者からの指導に対する対応」、「実習に対する意欲」、「実習での目標・取り組み・自己認識」の状況での模範的な行動パターンや認知パターンを示すことで代理経験を促し、加えて、模擬場面を設定し学生に遂行の機会を与え、学生の遂行行動の達成を支援しておく必要があると考えられた。
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