研究課題/領域番号 |
19K03085
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
前村 公成 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30398292)
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研究分担者 |
盛 真一郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (00620519)
又木 雄弘 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任講師 (10444902)
田上 聖徳 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50721031)
新地 洋之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (60284874)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577)
蔵原 弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (70464469)
川崎 洋太 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90770420)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 内視鏡外科 / トレーニングシステム / 消化管再建 / ホログラフィー |
研究実績の概要 |
研究の目的は胆道・膵に対する臓器切除後の再建手技における患者個別対応型の新規腹腔鏡手術訓練装置の開発と、同装置を利用して独自の統合的な手術訓練評価プログラムを確立することである。 1)疑似臓器モデル腹腔鏡手術シミュレーターのモジュール化への取り組み:ダイナミック造影CTデータから注した目標臓器の位置情報に関して、画像ワークステーションでの3D構築を経てホログラフィックコンピューター上での各臓器の立体的な距離計測によるデータを蓄積し、立体モジュール作成のためのデータベース化に取り組んだ。意義:試作している手術シミュレーターの汎用性を作成モデルで検証し有用性を検討することが可能となる。2)術式別習熟度評価システム、術式別難易度分類と訓練プログラムの開発:グループで開発した独自の訓練シミュレーターによる新しい疑似臓器を用いた胆道再建術式および膵消化管再建術式のプロトコル作成およびマニュアル化の試作に取り組み、同時に被験者による手技実施データの収集を開始した。モーションキャプチャーによる運動解析を利用した評価プログラム作成に取り組んだ。3)術者・助手による高難度消化管再建術式訓練プログラムと遠隔指導システムの開発:造影CTより抽出した対象臓器3D情報を複数の専用VRゴーグルで共有し、仮想空間での手術シミュレーションの遠隔指導プロトコル作成に取り組んだ。3D臓器画像情報はホログラフィックコンピューターを用いて開発中のシミュレーターへ重畳表示し、同様の2台のシステムとインターネット回線を利用した同一ホログラム画像のリアルタイム共有による双方向の情報交換について検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
可動モジュール式疑似臓器モデルの制作を継続して進めている。シリコン製臓器によるシミュレータ内への再建臓器パーツの実装の検証および設定位置の可動範囲の検討は行えており、データの収集を進めている。一方でこれらのモジュールを当初計画していたカセット型への変換および取り外し可能な構造を有するモデルの制作に難渋している。 独自の双方向性画像合成装置(AVF-1002M)を用いた2台の訓練装置の画像リンクの手法を応用して、ホログラム画像をインターネット回線の経由による共有化ならびに同画像と別々のシミュレーターへの重畳化に対するプロトコルは達成しており検証を継続している。医療用画像のホログラム化とシミュレーターとのリンク技術を応用して、実臨床において手術中にホログラム画像を術野へ重畳する手技の検証を試みた。さらにドップラー血流計測器との併用による血管追跡法の手法を開発し、実臨床での実験的な検証とデータ収集を開始した。 術式別習熟度評価システムおよび術式別難易度分類を客観的に構築するためにモーションキャプチャーシステムによる運動解析が難航している。腹腔鏡用デバイスを用いた実際の外科的手技は数cm単位での動作であり、計画中のシステムでは対応できないことが明らかになった。実動作を直接認識するにはより高精度のセンサーが必要であるため、対策を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築した機器システムの完成ならびに腹腔鏡下手術手技操作の難易度評価と訓練プログラムの構築を目指して、以下の項目について研究を進めていく。 1)カセット型可動モジュール式疑似臓器モデル腹腔鏡手術シミュレータ装置の開発について:疑似臓器を安定して設置するためのカセット型モジュールは想定通りの動作を実現できていない。構造を単純化した造形への変更と設計ならびに試作機の制作を推進する。 2) 運動解析による手術手技熟練度評価システムに必要な運動解析技術の確立:鉗子自体の運動解析を可能とするためのモーションキャプチャーのカメラシステムの構築を検討したが、直接計測による精度到達を試みた場合予算を大幅に越える機材が必要となり達成は困難である。これを解決するために鉗子把持部の延長マーカーだけでなく被験者の手や腕などにも直接マーカーを装着し運動を計測する。被験者自体の動きまで含めた運動解析を行い評価システムとして機能するかどうかの検証を進める。 3) 術者・助手による高難度消化管再建術式訓練プログラムと遠隔指導システムの開発:3Dホログラフィックコンピュータ画像のインターネット回線を経由した情報共有による術式指導と実際の手技である術野展開や吻合操作における術者助手の共同作業のプロトコルを作成する。ホログラフィックコンピューター装着による画像合成装置の視認性や実際の鉗子の操作性のデータを収集し、実現可能なプログラムの構築と検証を推進する。
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